研究分担者 |
松元 重則 日本大学, 理工学部, 教授 (80060143)
森田 茂之 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70011674)
吉田 朋好 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60055324)
大槻 知忠 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (50223871)
相馬 輝彦 東京電機大学, 理工学部, 教授 (50154688)
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研究概要 |
本研究は,3次元多様体が許容する各種構造の相互の結びつきに注目し,背景にあるはずの物理法則のような指導原理を見出し,幾何とトポロジーが交錯する研究を総合的に推進することを目的としたもので,昨年度に第1期を終了し,今年度からはそれを継承する第II期として研究期間を4年間に設定している. 今年度は,各メンバーを中心として多くの研究協力者とともに第I期から継続して研究打ち合せ,研究集会の開催,研究報告予稿の冊子化などを行い,課題の研究推進に努めた.とくに,本研究と関連して年度初頭にG.PerelmanによるRicci流の解析に関する大きな進展があり,その概要を知り今後の研究の正しい方向性を探るため,意見交換および情報収集にかなりの時間を割いた. 一方,研究代表者は水嶋滋およびSer Peow Tanと共同で,以前に射影構造をもつ曲面とその上のサークルパッキングの対のモジュライのトポロジーを特別な場合に確定したが,今年度はその成果を一意化に結びつけた.証明では谷川晴美の議論を概ね模倣したが,サークルパッキングの研究に調和写像を用いたのはおそらくこの研究が初めてである.成果は外国(ドイツ・イギリス)を含めた幾つかの研究集会で発表した.研究は種数が1の場合の水嶋の結果をプロトタイプとするもので,当初立てた予想の信憑性が高まったことになる. この1年間の研究活動は,Perelmanの仕事を契機として当初の目標を上回る充実したものになり,各種構造の関係が単に複雑に絡むだけでなく,その背景にある数理的原理を見出す素地がようやく見え始め,幾何的手法の課題がある程度明確にできたと考えている.
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