研究分担者 |
増田 久弥 明治大学, 理工学部, 教授 (10090523)
望月 敦史 基礎生物学研究所, 理論生物学研究部門, 助教授 (10304726)
小林 亮 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60153657)
瀬野 裕美 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50221338)
栄 伸一郎 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (30201362)
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研究概要 |
生物系、生態系に現われる様々な非線形現象の中で、特に、遷移過程に現われる非線形非平衡現象の解明に向けてモデリングおよびその解析、更にそれを支える数理的手法の開発を行った.以下順を追って説明する (1)走化性機構を持つバクテリアコロニーパターンの多様性の解明を遷移過程に現われる非線形非平衡現象として捉える数理モデルを理論解析することから成功した. (2)葉脈形成の機構はまだ明らかでない。そのためにこれまで提案されている応拡散仮説と運河仮説に基づいて反応拡散モデルを構築し、その機構解明に一つの指針を与えた. (3)真正粘菌の融合実験、分離実験において観察される振動の位相のダイナミクスを再現する数理モデルを提出した。ゲルの固さの分布を適度にとることにより、実験の結果を再現することに成功した.この結果は細胞インテリジェンスの問題に対する理論研究の第一歩となった. (4)遷移過程に現れる問題の一つとして、不均質な空間における生物個体群の空間分布拡大速度関する確率過程論的数理モデルを解析し,フラクタル次元により特徴づけられる空間不均質性によって,速度の時間変化パターンが特徴づけられることを示した.また,生物個体群間相互作用によって,空間分布拡大速度が受ける影響についての理論的な結果を見いだした. (5)反応拡散方程式系に現れる遷移パターンの解析の一つとして、フロント解のダイナミクスを理論的に詳細に調べるためのさまざまな解析結果を得た.その応用として,非一様媒質がフロントの運動に与える影響やフロント同士の周期的相互作用などを示すことができた.
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