研究課題/領域番号 |
15204008
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堤 誉志雄 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10180027)
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研究分担者 |
井川 満 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80028191)
国府 寛司 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50202057)
太田 雅人 埼玉大学, 理学部, 助教授 (00291394)
水町 徹 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (60315827)
中西 賢次 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (40322200)
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キーワード | 修正KdV方程式 / 初期値問題の適切性 / エネルギー空間 / Benjamin-Bona-Mahony方程式 / 孤立波解 / 漸近安定性 / 非線形シュレディンガー方程式 / 定在波解 |
研究概要 |
今年度堤は、昨年度に引き続き、周期境界条件のもとで修正KdV方程式(modified Korteweg-de Vries equation)の初期値問題に対し、時間局所的適切性を研究した。Bourgainは1993年に、2乗可積分なSobolev空間の関数の滑らかさを表す指数sに対し、s≧1/2のとき時間局所的に適切となることを示した。この結果は最近、高岡-堤によりs>3/8に拡張された。今回、この研究を更に掘り下げ、フーリエ空間におけるエネルギー移送現象を数学的に解析し、低周波帯から高周波帯へのエネルギー移送だけではなく、逆向きのエネルギーの流れ、すなわち、高周波帯から低周波帯へのエネルギー逆移送現象が初期値問題の適切性には重要な役割を果たしていることを明らかにした。エネルギー順移送とエネルギー逆移送の両方の効果により、ある種の非線形共鳴現象が発生し、Sobolev空間における指数1/2を境にして解作用素の振る舞いが大きく変化することを示した。 また、水町徹氏は、非線形分散型方程式の一つであるBenjamin-Bona-Mahony方程式に対し、孤立波解の漸近安定性を調べた。水町氏は、エネルギー空間において、線形化作用素のスペクトルの構造を精密に決定し、孤立波解の伝播速度がある閾値より小さければ、初期時刻で孤立波解の近傍にあった解は、時間無限大で孤立波解に漸近することを示した。中西賢次氏はGustafson氏やTsai氏と共同で、線形ポテンシャルを持つ非線形シュレディンガー方程式に対し、定在波解の漸近安定性を研究した。彼らは、線形ポテンシャルが小さいときに自明解から分岐してできる定在波解は、エネルギー空間において、漸近安定であることを証明した。
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