研究分担者 |
國府 寛司 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (50202057)
中西 賢次 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (40322200)
太田 雅人 埼玉大学, 理学部, 助教授 (00291394)
水町 徹 九州大学, 大学院数理学研究院, 助教授 (60315827)
高岡 秀夫 神戸大学, 理学部, 助教授 (10322794)
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研究概要 |
堤は,非線型シュレディンガー方程式の初期値問題に対して,解の無条件一意性(unconditional uniqueness)を研究した.非線型シュレディンガー方程式においては,解のクラスは初期値が属する関数空間だけではなく,ストリッカーツ評価式から定まる時空可積分空間に属することを過程するのが普通である.後者の空間は補助空間と呼ばれ,その補助空間は一般的には解の構成法に依存する.従って,解の構成法に依存しない,すなわち解が補助空間に属することを仮定しないで一意性が成立するかどうかはきわめて自然な問題である.このような意味での解の一意性を,無条件一意性という.無条件一意性の先行結果としては,加藤敏夫やFurioli and Terraneoの論文があるが,彼らは解の属する関数空間がスケール変換に関して劣臨界の場合(subcritival case)を扱っており,臨界の場合(critical case)の研究はほとんど無かった.今回,Furioli and Terraneoの証明方法を改良することにより,彼らの結果を臨界空間の場合に拡張することに成功した. 高岡はKenigとの共同研究により,変形Benjamin-Ono方程式について,エネルギー空間H^<1/2>における初期値問題の時間大域的適切性を示すとともに,エネルギー空間より広い関数空間では初期値に関する解の一様連続依存性が壊れるとを示した.この適切性の成否による考察から,エネルギー空間がこの問題に対してある意味で整合的に位置づけられることを明らかにした. また,太田はTodorovaとの共同研究により,非線形クライン・ゴルドン方程式の基底定在波解の不安定性を調べた,非線形クライン・ゴルドン方程式に対しては,基底定在波解の軌道不安定性よりも強い意味での不安定性(すなわち,基底定在波解のいくらでも近いところに,爆発解を生成させる初期値が存在すること)は,振動数が0の場合を除いて知られていなかった.この研究では,軌道不安定な基底定在波解は,すべて強い意味でも不安定であることを示した.さらに,従来は未解決であった臨界振動数の場合には,基底状態に限らず,球対称な定在波解はすべて強い意味で不安定であることを示した.
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