研究分担者 |
國府 寛司 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (50202057)
中西 賢次 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (40322200)
太田 雅人 埼玉大学, 理学部, 助教授 (00291394)
水町 徹 九州大学, 大学院数理学研究院, 助教授 (60315827)
高岡 秀夫 神戸大学, 理学部, 助教授 (10322794)
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研究概要 |
平成15〜16年度は,修正KdV方程式の初期境界値問題の適切性を周期境界条件の下で研究した.1993年にBourgainは初期境界値問題の局所適切性を$H^s$, s≧1/2の空間で証明した.高岡と堤は$H^s$, s≧1/2と$H^s$, s<1/2の場合の相違点を詳しく調べ,1/2>s>1/3でも局所適切であることを示した.しかし,この場合は初期値に関する解の連続依存性は成立するが,非線形効果による振動によって一様連続とならなりことも示した. 平成17年度堤は,空間2次元において2次の非線形性を持つ非線形シュレディンガー方程式の時刻無限大での解の漸近挙動を下村明洋とともに研究した.空間2次元の場合,2次の非線形性は短距離型相互作用と長距離型相互作用の境目に当たるため,非線形散乱理論の立場からは非常に興味深い問題である.非線形項が解の絶対値の2乗である場合,解は通常の意味では自由解には漸近しないことを示した.他の2次の非線形性は短距離型相互作用として働くことが知られており,その対比としても興味深い結果である. 平成18年度堤は,べき乗型非線形シュレディンガー方程式の初期値問題に対する解の無条件一意性(unconditonal uniqueness)を研究した.非線型シュレディンガー方程式においては,解のクラスは初期値が属する関数空間だけではなく,ストリッカーツ評価式から定まる時空可積分空間に属することを過程するのが普通である.後者の空間は補助空間と呼ばれ,その補助空間は一般的には解の構成法に依存する.従って,解の構成法に依存しない,すなわち解が補助空間に属することを仮定しないで一意性が成立するかどうかはきわめて自然な問題である.このような意味での解の一意性を,無条件一意性という.無条件一意性の先行結果としては,加藤敏夫やFurioli and Terraneoの論文があるが,彼らは解の属する関数空間がスケール変換に関して劣臨界の場合(subcritival case)を扱っており,臨界の場合(critical case)の研究はほとんど無かった.今回,Furioli and Terraneoの証明方法を改良することにより,彼らの結果を臨界空間の場合に拡張することに成功した.
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