研究分担者 |
西谷 達雄 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80127117)
松村 昭孝 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (60115938)
土居 伸一 大阪大学, 理学研究科, 教授 (00243006)
久保 英夫 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (50283346)
杉本 充 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (60196756)
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研究概要 |
1.摩擦項を考慮にいれた波動方程式である臨界冪非線形項を持った非線形消散形波動方程式の時間減衰評価および解の漸近的振る舞いについての研究を行なった.臨界冪非線形項の場合は非線形項による時間減衰と線形解のそれとがおなじになるので非線形項を線形方程式の摂動とみなすことができない.このことが問題の難しさとなるのだがわれわれは非線形項が摩擦の役割を果たすとき,非線形の解は対数のオーダーだけ早く減衰することを発見し解の正確な漸近評価を求めることに成功した.この結果はアメリカ数学会の雑誌(Trans.Amer.Math.Soc.)に発表されている. 2.確立過程の研究に用いられる非線形分数冪熱方程式は通常の熱方程式とは異なる性質を持っている.例えば熱方程式の解は指数関数的に減衰するが分数冪熱方程式の場合は代数的な量でしか減衰しない.あるいは熱方程式の解は正値性を保存するが分数冪熱方程式の場合はそうとは限らない.このような違いと基本解の性質および非線形項の性質を用いてわれわれは正確な解の漸近評価を示した.この結果は雑誌(London.Math.Soc.)に発表されている. 3.非線形熱方程式の場合,臨界冪非線形項の意味が微分を含む場合とそうでない場合とでは若干ことなる.微分を含むバーガーズ方程式の場合,解は自己相似解のように振舞うが3次のべき乗形非線形項に対しては対数的な付加減衰をするか爆発するかのどちらかである.われわれはより一般てきな非線形問題を考え正確な漸近評価が求まるための十分条件をいくつかの論文で与えた.この結果は(Applcable Analysis, Differential Integral Equations, Math.Methods Appl.Sci.に発表されている。 4.非有界なポテンシャルを持った線形シュレデインガー方程式の解の性質,特に解の平滑化効果に関する研究ををおこない従来の結果の拡張を行った.この結果はPubl.Res.Inst.Math.Sci.(数理解析研究所の紀要)に発表されている.
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