研究課題/領域番号 |
15204010
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤本 正行 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00111708)
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研究分担者 |
小林 行泰 国立天文台, 光学赤外天文学研究系, 教授 (50170361)
吉井 譲 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (00158388)
野本 憲一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90110676)
辻 隆 東京大学, 大学院・理学系研究科, 名誉教授 (20011546)
青木 和光 国立天文台, 光学赤外天文学研究系, 助手 (20321581)
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キーワード | 恒星進化 / 初期宇宙 / 星形成 / 第一世代の恒星 / 超金属欠乏星 / 炭素星 / 元素合成 |
研究概要 |
第一世代星の生き残りである種族III星は銀河系ハローの炭素星として観測される可能性が理論的に指摘されている。この銀河ハロー炭素星の探査のため、東京大学木曾観測所のシュミット望遠鏡を用いて、炭素星特有のC_2およびCN分子吸収線バンドに着目した380から480nm波長帯で掃天観測を遂行し、これまでに100度平方以上の領域についてのデータを取得した。この観測では、既存の掃天観測の限界等級を上回る18等までの炭素星が識別可能であり、現在、既に取得したデータについて炭素星を選別する解析をはじめた。また、検出した銀河ハロー炭素星の測光観測を通してさらに種族III星の候補を絞り込むことを目的として、炭素星の測光観測の効率を高めるために、マグナム望遠鏡の観測デッドタイムを大幅に減らすことができる高速・高信頼性のドーム回転・開閉機構を導入した。 種族III星と密接に関連する超金属欠乏星についても、その形成過程及び特異な組成分布の起源に関しての理論、観測の両面での理解を進めた。特に昨年度発見されたこれまでに発見された最も金属量の小さいHE0107-5240との関連で、星形成の理論から、種族IIIの初期質量関数の低質量端は太陽質量以下であることを導き、それらの星は表面が重元素で汚染された金属超欠乏星として観測される可能性を論じた。また、この[Fe/H]=-5.3の星の特異な表面組成が、低質量金属欠乏星の進化の理論からは連星系での質量交換によっても、あるいは、種族III大質量星の中心核崩壊型超新星での核種合成でも説明できる可能性を示すとともに、今後、この星が汚染された種族III星か第二世代の星であるかの識別する観測についての提案を行った。また、超低金属星の組成解析からは、酸素/鉄組成比などから超新星爆発モデルもしくは低質量星の進化モデルに強い制約を与える結果を得えた。
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