研究課題
昨年度に続いて、宇宙黎明期の恒星について観測、理論の両面から理解を進めた。分担者の青木がPを務めるすばる望遠鏡を用いた超金属欠乏星の化学組成研究のための観測プログラムが完了、測定を進めた。我々の発見した最も鉄組成の少ない星HE1327-2326の詳細な化学組成解析を行った他、金属量分布、炭素過剰を示す星の割合などに示唆を与える結果を得た。これを受け理論的に、超金属欠乏の低質量星の生き残りが示す炭素過剰星等の特異な組成の起源を進化の理論に基づいて解明、超金属欠乏星の初期質量関数を推定した。これは、宇宙黎明期の恒星の質量分布を決めた最初の試みで、今後、銀河系の形成、初期進化の新たな描像を議論する基礎となる(藤本、須田)。大質量星に関しては、第一世代星の候補の一つと考えられる太陽の500〜1000倍の巨大質量星が進化、重力崩壊して中質量ブラックホールを形成する過程で、どのような元素を放出するかを、2次元ジェット状爆発モデルに基づいて明らかにした。鉄や珪素に比して酸素の比が極端な金属欠乏星の化学組成より小さいが、逆に、中質量ブラックホールが観測されたM82の高温ガスや、銀河団ガス、銀河間ガスの化学組成など、通常の星だけでは説明できない組成を説明することができる。この質量範囲の星は、これまで宇宙の化学進化の研究ではほとんど考慮されてこなかったが、第一世代星と巨大・中質量ブラックホールの形成との関連を考える上で、考慮にいれるべきであるという結論に達した(野本、鈴木)。これら宇宙初期の恒星と関連して、MAGNUM望遠鏡により宇宙黎明期のガンマ線バーストの光学残光観測探査を行ない、赤方偏移6.29のGRBO50904の光学残像の観測に成功した(吉井、小林)。また、球状星団の恒星の観測面、理論面での研究(青木、藤本、須田)、赤色巨星大気の分析等の研究面(辻)でも進展を見た。
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