遠方の超新星観測においては、ハッブル宇宙望遠鏡でみつけた超新星をすばる望遠鏡で母銀河他の追加分光観測を行った。データ解析の詳細うちあわせのため、欧州南天天文台のLidman博士を招聘した。6月には米国バークレーへ共同研究者との研究うちあわせに行った。観測結果について現在まとめているが、楕円銀河に出現したIa型超新星は明るさのばらつきが大変小さいという画期的な結果を得ている。また超新星の出現率について、諸隈が暗い変光天体についての統計的結果を博士論文としてまとめ、投稿準備中である。 近傍の超新星においては高梨が近傍の超新星の光度曲線の解析から、Ia型超新星の色と銀河の塵による減光の関係を調べ、論文投稿準備中である。またスローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)で見つかった超新星をすばる望遠鏡によって追加観測を行い、50個の超新星スペクトルを取得し、時田、小西がスペクトルの研究を、また高梨が光度曲線の研究を行っている。さらにIa型超新星の起源の研究として、伴星探しをすばる望遠鏡を用いて行い、井原他が論文を投稿した。またTegmark博士を中心にSDSSの銀河サーベイからダークエネルギーに制限を与える論文を出版した。 ハードウエア開発においては15色同時撮像カメラの調整を進めた。安価なスターリング式冷凍機を導入することに成功し、光学部品を一部改良し、さらに光学調整やエレクトロニクスの雑音をすすめた。広島大学のかなた望遠鏡で19年の5月に次回の観測を行う予定である。また、より大規模なダークエネルギー測定が大変効率的にできる多色同時撮像カメラの概念設計を進めた。 関連した研究発表を日本天文学会で行った。
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