研究課題
赤外線衛星IRASにより、遠赤外線の超過として10数個の主系列星の周りに星周円盤が発見されて以来、その生成・進化について、多くの議論が重ねられてきた。星周円盤の進化は、惑星系生成の過程と密接に関連し、太陽系の起源を探る上で重要な情報をもたらすものである。しかしながら、星周円盤の進化について観測的に制限を与えるほどの観測サンプル数が従来は得られていなかった。「星周円盤のサンプル数を従来よりも画期的に増やす」ことにより、「統計的」に星周円盤の進化過程を解明しようとするのが本研究の目的のひとつである。平成18年度には、このサンプル数を増やすことが期待される「あかり」衛星が観測を始めた。事前の準備に基づき、全天サーベイ観測および、個別天体の詳細観測を進め、質の良いデータを取得することに成功した。また、衛星観測を補足するために、地上望遠鏡を用いた高空間分解能観測を進めた。さらに、将来の系外惑星の直接検出を目指して、系外惑星の検出に最適化したステラー・コロナグラフの基礎技術開発にも取り組んでいる。とくに平成18年度には、本目的に最適化した瞳マスクの設計および検証実験を進めた。微細加工によってバイナリー瞳型マスクを製作し、可視波長域での検証実験を進め、コロナグラフ単体としては世界記録となる10^7のコントラストを達成した。さらに、コントラストを高めるだけではなく、コロナグラフのinner working angle (IWG)を小さくするために、Phase-Induced Amplitude Apodization型のコロナグラフの実験も進めた。これは、将来、主星に近い惑星までを検出する上で、重要なステップとなる。
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