研究概要 |
●クローバー型Ge検出器とBGOカウンター6組を現有のHyperballと組み合わせ、Hyperball2を建設するための作業を行った。 ・Ge検出器の高速回路をクローバー型Ge検出器に接続して高計数率での検出効率や分解能を調べた。KEK K6ラインのπ中間子ビームを用いて、本実験と同じ条件でのテスト実験(T536)を行ったところ、現Hyperballに用いているGe検出器とほぼ同程度の耐高計数率が得られた。 ・クローバー型Ge検出器用BGOカウンターを組み立て、その性能を、線源およびπ中間子ビームを用いて調べた。時間分解能は1MeVで2-4ns(FWHM)と十分良く、高エネルギーバックグランドの除去能力も十分あることが確かめられた。 ・Hyperball2の全体設計を行った。また、VME/FERAによる高速のデータ収集系を設計し、VME crateやTDCなどの必要回路を整備した。 ・BGOに代わる高速のバックグランド抑止カウンターとして、将来PWOカウンターを用いる可能性を調べた。2cm厚のPWOカウンターを、Ge検出器を囲んで配置し、πビームを用いて高エネルギーバックグランドの除去性能を調べた(T536実験)。BGOと比べ遜色ない結果が得られた。 ●2001年に米国ブルックヘブン研究所で行った、Hyperballを用いたハイパー核γ線分光実験(E930)のデータ解析を行い、ほぼ終了した。^<16>_ΛO,^<15>_ΛN,^7_ΛLi,^9_ΛBe等のγ線が観測され、^<16>_ΛOデータからΛ核子間のテンソル力の大きさが始めて得られた。さらに、2002年にKEKで行ったHyperball実験(E509,E518)の解析も行い、静止K中間子吸収による上hyperfragmentのγ線や、^<11>_ΛBのγ線が観測された。これらの結果をもとに、Hyperbll2での実験を検討、立案した。
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