研究概要 |
Hyperballを用いたハイパー核ガンマ線分光実験BNL E930,KEK E509,KEK E518のデータ解析と論文発表を行った。E930では、初めてのγγ同時計測の成功、および誤差は大きいが^7_ΛLiにおいて初めてのスピン反転M1遷移のB(M1)測定が達成された。E509では静止K^-吸収によるhyperfragmentの精密ガンマ分光に成功し、E518では^<11>_ΛBのγ線を多数発見しΛN相互作用の知見を得た。 Hyperballに使われていた14台の個別型ゲルマニウム検出器と新しい6台のClover型ゲルマニウムとを検出器を組み合わせたHyperball2の建設を行った。放射線損傷を受けていた個別型ゲルマニウム検出器のアニールを行い、全検出器の分解能が復活した。また、Hyperball2用にBGO検出器ハウジングを製作した。Hyperball2用の検出器架台を設計・製作し、テスト実験を行うため東北大サイクロトロンの実験室に組み上げた。必要な高計数率用の回路をすべてそろえ、データ収集系を完成させた。データ収集高速化のためVMEのメモリーモジュール(UMEM, Universal Memory Module)2台をダブルバッファーとして用いデータの蓄積・転送を同時に行う方法を開発した。 Hyperball2を用いて行う実験をKEK-PSに提案し、E566として認められた。これは、K6ラインにおいてSKSスペクトロメータとHyperball2を用いて行うもので、^<12>C標的を用いた(π^+,K^+)反応によって^<12>_ΛC,^<11>_ΛBを生成し、これらの構造からΛN相互作用の詳細を調べるとともに、^<11>_ΛBの基底状態二重項の間のスピン反転M1遷移に対してドップラーシフト減衰法を用いてB(M1)を精度良く測定し、核内でのΛ粒子の磁気モーメントを調べる。 J-PARCでの実験にそなえ、BGOにかわる高速のPWOによるバックグランド抑止カウンターの開発を進めた。冷却して光量を増やすことで十分なコンプトン抑止能力が得られることがわかった。
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