研究概要 |
1.^<16>Oと^<10>B標的を用いたハイパー核γ線分光実験(BNL E930('01))のデータ解析を完了した。 ^<16>_AOハイパー核の1^-→1^-,0^-遷移を観測し、基底状態二重項の間隔(26keV)からAN相互作用のテンソルカの大きさ(T=0.03MeV)が初めて得られた。^<16>_AO(2^->1^-)遷移も観測された。また、^<10>B標的のデータからは、^<10>_ABの基底状態二重項の間隔が100keV以下であることがわかり、初めてのγγ同時計測による^7_ALi(7/2^+→5/2^+)の観測、^9_ABe(3/2^+→1/2^+)の観測による^9_ABe(3/2^+,5/2^+)のスピンの同定もなされた。 2,静止K^-吸収によるhyperfragmentのγ線分光実験(KEK E509)のデータ解析を行い、^<10>B,^<12>C標的からhyperfragment ^7_ALiのE2遷移を観測し、その生成率を決定した。 3,^<11>ABのγ線分光実験(KEK E518)の解析を進め、6つの遷移を観測しその1つを1/2^+→5/2^+と同定した。 4,Ge検出器群HyperballにClover型検出器6台を加えて検出効率を倍増させたHyperball2を建設した。 5,Hyperball2を用いて、KEK-PS K6ラインにおいて^<12>C(π^+,K^+)反応を用いて^<11>_AB,^<12>_ACのγ線分光実験(KEK E566)を行った。解析の途中結果によると、^<11>_ABの基底状態二重項間のγ遷移(7/2^+→5/2^+,262keV)と、^<12>_ACのコア第一励起状態から基底状態二重項へのγ遷移のうち一方(1^-_2→2.67MeV)が観測された。 6,以上の結果から、スピンに依存するAN相互作用の4成分の大きさがΔ=0.33(A>10),0.43(A=7),S_A=-0.01,S_N=-0.4,T=0.03MeVと確定した。いくつかの例外を除き、多くのレベルデータがこの4つのパラメータで説明できることがわかった。 7.J-PARCでのさらなるハイパー核γ線分光実験に向け、Ge検出器の高速読み出し法の開発やPWOを用いたバックグランド抑止カウンターの高速化などを進めた。
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