研究課題/領域番号 |
15204015
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宇川 彰 筑波大学, 物理学系・計算物理学研究センター, 教授 (10143538)
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研究分担者 |
金谷 和至 筑波大学, 物理学系, 教授 (80214443)
青木 慎也 筑波大学, 物理学系, 教授 (30192454)
岩崎 洋一 筑波大学, 物理学系, 教授 (50027348)
石塚 成人 筑波大学, 物理学系・計算物理学研究センター, 助教授 (70251030)
吉江 友照 筑波大学, 物理学系・計算物理学研究センター, 助教授 (40183991)
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キーワード | 格子ゲージ理論 / 格子QCD / 数値シミュレーション / クォーク / 相転移 / クローバー作用 / モンテカルロ法 / 摂動展開 |
研究概要 |
年度当初の計画に従い、up, down, strangeクォークの動的効果を採り入れた格子QCD計算を進めた。具体的成果は以下のとおりである。 (1)グルオン配位の生成 予定する3つの格子間隔のうち、a=0.1fmに対応する配位を16^3x32及び20^3x40で生成した。物理的なクォーク質量への外挿あるいは内挿を行うため、strangeクォーク質量として2点、up-downクォーク質量として5点をとり、各点で7000〜8000トラジェクトリの統計を集積している。生成した配位はディスクの保存し今後のoff-1ine解析に備えている。 (2)ハドロン質量スペクトルの計算とクォーク質量の決定。 生成した配位上でハドロン伝播関数を求め、これからスピンが0^-及び1^+のメソン及び1/2と3/2のバリオンの基底状態の質量を求めた。その結果を、up, downクォークのみ動的に扱った場合(Nf=2)、クェンチ近似の場合と比較すると、格子間隔が1点での比較ではあるが、動的クォークの数を増やすに従い、ハドロン質量の格子QCDによる予言値が実験値へと一致して行くことが強く示唆される結果を得た。これにより、本計画の遂行により1%精度でのQCDの検証が期待できる状況となった。 また、クォークの質量については、Nf=2の場合よりもさらに小さな値となること、一方で、strangeクォークを定めるための実験値を何に取るかによる予言値の差はほとんど無くなるとの結果を得た。 (3)強い相互作用結合定数α_sの決定。 Schroedinger汎関数による有限サイズスケーリング法を適用するため、準備として、本計算で用いている繰り込み群で改善されたグルオン作用に対し、クェンチ近似でのステップスケーリング関数の決定を行い、標準作用を用いた場合との連続極限での一致を確認した。 (4)重いクォークを含むメソンのスペクトルと崩壊定数 重いクォークを含むハドロンの物理量を、青木・蔵増・富永により提唱された相対論的作用に基くクォーク作用の方法で求めるために、クェンチ近似の枠内でプログラム開発及びこの方法により期待される諸結果が実際出るかどうかの予備計算を行い、理論的予想を確認する結果を得た。
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