研究課題/領域番号 |
15204017
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
櫻井 博儀 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70251395)
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研究分担者 |
青井 考 理化学研究所, 中央研究所, 研究員 (00311647)
岩崎 弘典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30334246)
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キーワード | 不安定核ビーム / 中性子過剰核 / γ線核分光 / リコイル・シャドウ法 / 電気四重極遷移確立 / 陽子非弾性散乱 |
研究概要 |
今年度の主な成果は以下の2点にまとめられる。 1.リコイル・シャドゥ法を用いた^<16>Cの電気四重極遷移確率の決定 原子核の電気四重極遷移確率(B(E2))は、原子核の集団性を研究するために必要な、基礎的な量であり、このB(E2)の測定によって不安定核の特異な核構造が次々と明らかとなっている。従来、B(E2)は、高速不安定核ビームを用いたクーロン励起法によって測定されていたが、Zが8以下の軽い核では核力励起に伴なう不定性が残るため、これに替わる新しい実験手法の開発が必須であった。我々は、高速不安定核ビームを用いた新しい実験手法として、リコイル・シャドゥ法を開発した。この手法は、クーロン励起のように非弾性散乱断面積の測定を通じて間接的にB(E2)を導出するのではなく、励起状態の寿命を直接測定する手法である。この手法を世界ではじめて^<16>Cに適応した。得られた結果は驚くべきものであった。^<16>CのB(E2)はこれまで既知の原子核に比べ、極めて小さく、二重閉殻構造をもつ原子核と比べても小さいものであった。これは、^<16>C内の陽子物質が原子核の集団運動にほとんど寄与していないことを意味している。これまで、原子核の集団運動は、陽子・中性子物質がともに同程度寄与することが常識であったが、この結果は、中性子過剰な原子核では必ずしも成り立たないことを示している。この成果は、Physical Review Letters誌に投稿し、2004年2月に掲載された。 2.陽子非弾性散乱を用いた^<16>Cの中性子物質の集団性の研究 ^<16>Cの異常なB(E2)を受け、次に集団性に対する中性子物質の寄与を陽子非弾性散乱の断面積測定から導くことを試みた。この結果、中性子物質の寄与は、陽子物質に比べ7倍も大きいことがわかり、現在、投稿論文を準備中である。
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