研究概要 |
本研究では初期の目標を達成することができ、同時に核構造に関わる多くのデータを取得することができた。 1.励起状態の寿命測定 不安定核ビームに適した、複数の寿命測定法の開発に挑戦した。その中でリコイル・シャドウ法とその高度化により、^<16,17,18>Cの励起状態の寿命測定に成功した。^<16,18>Cについては寿命が長く、四重極集団性に対する陽子物質の寄与が量子液滴模型と比較すると異常に小さいことが分かった。さらに、^<17>Cでは、基底状態と二つの励起状態を結ぶ遷移がともにM1遷移であることがわかり、その一つは理論に比べて一桁小さいことを見出した。これは、s1/2の弱束縛性に起因するハロー構造によるものと解釈している。その他、新しい手法としてリコイル・ディスタンス法を開発し、これを^<32>Mgの第一励起状態に適応した。 2.陽子非弾性散乱 ^<16>Cの異常なB(E2)を受け、集団性に対する中性子物質の寄与を陽子非弾性散乱の断面積測定から導き、中性子物質の寄与は、陽子物質に比べ7倍も大きいことがわかった。 3.その他 励起状態の寿命測定実験の副産物として、^<17>Bの新たな励起状態を発見た。^<17>Bは、その脱励起の様子から15Bとは全く異なる核構造をもっていることがわかった。軽い中性子過剰核の構造を理解する上で極めて重要な結果である。また、陽子過剰核のβ核分光を行い、^<46>Crと^<24>Siについて成果を得ている。
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