研究課題
基盤研究(A)
本研究の目的は、「パルス蓄積法」と呼ばれる新しい技術を開発し、光共振器の性能を飛躍的に向上さる事にある。またこの技術を応用して、1)「レーザー光」による電子ビームの冷却実証実験を行う、2)「レーザーワイヤー測定装置」の高性能化を図る、3)将来の実用化を目指し、小型硬X線源の予備的実験を行う、事を目標としている。本年度に於ける具体的成果は以下のとおりである。1)パルス・レーザーを使った光共振器の製作を行った。この製作の具体的目標は我々にとって新しい波長である1064nmで、現在と同程度の性能を再現することにある。実際にはFinesseとして約1000程度を実現し、目標値の1/3から1/4を実現した。以上の成果は、親レーザーのパワーを100mWに絞った、いわゆるCold Testである。来年度は親レーザーパワーを5Wのフルパワー試験を行う。2)これと共にガウスモード高調波(TEM_<01>)を使用した電子ビーム・エミタンス測定を行った。対象とした電子ビームは高エネルギー物理学研究所ATF装置である。この方法は、今までやられていない新しいアイデアであり、高精度化の第一歩となるものである。ガウスモード基本波(TEM_<00>)を利用する旧来の方法とも一致することを確かめた。3)新しいLocking方式の開発を行った。この方式は光共振器からの反射光のうちガウスモード基本波(TEM_<00>)と高調波(TEM_<01>)の干渉を測定するもので、従来の方法に比べて簡単で安定なものになる可能性がある。今年度は原理試験を行い、実現可能であるとの結論を得た。4)これと同時にATFにおいて高エネルギーガンマ線生成の可能性も視野に入れて、様々な検討を行った。