研究課題/領域番号 |
15204031
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 憲昭 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30170773)
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研究分担者 |
阿曽 尚文 東京大学, 物性研究所, 助手 (40313118)
西岡 孝 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10218117)
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キーワード | ウラン化合物 / 重い電子系 / 超伝導 / 強磁性 / UGe_2 / URu_2Si_2 / UNi_2Al_3 |
研究概要 |
1.今年度は初年度であるため既存の装置を活用し、また、強磁性と超伝導の共存を示すUGe_2に焦点を絞り研究を進めた。これにより、次のことを明らかにした。 (1)圧力・磁場・温度の3次元空間上の超伝導相図において、ある特性圧力(量子臨界点)近傍に常に超伝導相が現れることを見出した。一方、強磁性キュリー温度は、磁場ゼロの領域でのみ定義されることに対応して、超伝導の出現する領域とあまり強い相関を持たない。 (2)上記特性圧力の磁場依存性は、超伝導転移温度が最大となる圧力の磁場依存性と同じである。 (3)上部臨界磁場の超伝導転移温度における勾配は、特性圧力付近でおおきく増大される。(200kOe/Kを越える。) (4)超伝導転移温度付近において、ac磁化率は奇妙なダブルピーク構造を示す。 これらを総合的に考察した結果、超伝導を誘起しているのは、従来考えられてきたような強磁性の消失に伴う量子臨界点近傍の磁気揺らぎではなく、特性圧力に起因する臨界点近傍に存在する何らかの揺らぎであることが明らかとなった。今後の解決すべき問題は、その揺らぎの正体を明らかにすることである。 2.またこれと並行して、反強磁性と超伝導の共存系であるURu_2Si_2およびUNi_2Al_3についても研究を進めてきた。 (1)URu_2Si_2について極低温下かつ高圧下でac磁化率の測定を行った結果、常圧の「隠れた秩序相」と高圧の反強磁性相とで、超伝導シールディング効果に違いがあるように見える。このような情報は今までにない全く新しいものであり、真偽を確かめる実験を進めているところである。 (2)また。UNi_2Al_3については、物財機構の寺嶋氏との共同研究により、磁化の量子振動(いわゆるドハース・ファンアルフェン効果)を観測した。これも世界で始めてのことである。次年度はこの測定に力を注ぎ、理論グループの協力を得ながら、フェルミ面を構築したい。
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