研究概要 |
本研究の目的である連続発振原子レーザー実現の第2段階である移動型光糖蜜による超低速(数十cm/s)のルビジウム原子線の生成を行った.具体的には,前年度に作成したゼーマン減速器より,速度20m/s,流量10^<10>atoms/sの原子線を2次元磁気光学トラップ(MOT)に捕らえ,MOTレーザー光の周波数を調節することにより移動型半糖蜜(moving opticalmolasses)を構成し,MOTから最低で10cm/sの原子ビームを取り出した.しかしながら,流量は10^9atoms/sに留まり,真空装置の改良が必要であることがわかった.超低速原子ビームを連続的に蒸発冷却するための手法として,ガラス表面との衝突による蒸発冷却のスキームを考案した.具体的には,MOTによって捕らえられた原子集団を四重極磁場の極小点に捕獲し,別のコイルを用いて極小点をガラス表面へ移動させ,原子集団を蒸発冷却する.このスキームを実際に検証するための真空装置および磁気トラップコイルの開発を行った. 連続発振原子レーザーの動作原理に関係するボース凝縮体におけるボゾニック誘導効果について,既存のボース凝縮体発生装置を用いて研究した(Physical Review A誌にて公表済).また,原子集団が量子凝縮相にあるか否かを原子集団のコヒーレント時間の測定を通して判定する新たな手法を開発した(Physical Review Letters誌にて公表済).
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