研究分担者 |
海野 徳仁 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30004477)
松澤 暢 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20190449)
三浦 哲 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70181849)
岡田 知己 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30281968)
矢部 康男 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30292197)
|
研究概要 |
東北日本太平洋下のプレート境界の各地点における準静的すべりの時間発展を推定することを目的として,東北日本太平洋下全域を解析対象として相似地震(繰り返し小地震)を系統的に検出した.さらに,地震すべりと地震モーメントのスケーリング則に基き,相似地震の活動度からプレート境界各地点におけるプレート間すべりの時間発展を,空間的には東北日本太平洋下全域,時間的には過去20年間について推定することに成功した.その結果,岩手県釜石沖に見出されたM4.8の繰り返し地震について,その発生間隔のゆらぎが周囲の準静的すべりの加速に起因していること等,プレート境界での準静的すべりの振舞い,それと地震発生との関係が次第に明らかになってきた.また,1)データとして海底地震計データを用いること,2)震源決定法としてdouble-difference法を用いることにより,太平洋下の地震を高精度に震源決定することができた.その結果,相似地震は予測通りプレート境界面で発生していることを確認できた.GPSデータの解析では,変位の上下成分を高精度に推定し,それを水平成分に加えてインバージョンを行うことにより,プレート境界における固着状況の空間分布を推定できた.その結果は,相似地震の活動から推定したプレート間すべりの空間分布と良い一致を示すことがわかった.また,広帯域波形データを用いた2003年宮城県沖地震(M7.1)の解析により,余震はアスペリティを避けるように発生すること,破壊はスラブ地殻とスラブマントルの両方に拡がったことを明らかにした.さらに,室内実験によるAE活動の解析から摩擦特性を推定し,それを東北日本太平洋下のプレート境界に適用して,プレート境界面における摩擦パラメータの分布の推定を試みた.
|