研究課題/領域番号 |
15204043
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長谷部 文雄 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (00261735)
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研究分担者 |
塩谷 雅人 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (50192604)
藤原 正智 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (00360941)
西 憲敬 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00222183)
柴田 隆 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (70167443)
岩崎 俊樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80302074)
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キーワード | 熱帯 / 脱水過程 / 対流圏界層(TTL) / ゾンデ観測 / 数値モデル / 水蒸気 / 長期トレンド / 成層圏 |
研究概要 |
熱帯対流圏界層(TTL)内脱水過程を解明し、熱帯成層圏水蒸気の長期トレンドを高精度ゾンデ観測により検出するために、2003年12月に引き続き、2004年12月-2005年1月に熱帯太平洋域でオゾン・水蒸気ゾンデ観測を実施した。前年の観測により、TTL下端の水蒸気量と水平移流に伴う大気の温度履歴との対応が示唆されている。そこで、今年度の観測では、想定される大気の流れに沿って、Tarawa、Biak、Bandung、Hanoiに観測点を配置する共に、Koror付近で観測中の「みらい」にも乗船し、オゾン・水蒸気ゾンデ観測網を展開してmatch観測を試みた。Match観測とは、ある点でゾンデ観測された大気塊を大気の流れに沿って追跡し、別の観測点上空に到達した時を見計らってゾンデを飛揚することにより、同一大気塊を複数回観測する方法である。これにより、脱水の進行を定量化すると共に、経路中の気象条件と脱水量との関連を調べることにより、脱水の有効性を観測的に評価することができる。流跡線の精度や測器の信頼性などを検討しつつ、データ解析を実施中である。また、前年に引き続きBandungで運用したライダーや「みらい」搭載のライダーからは、脱水によって生じていると考えられる巻雲が観測された。観測された散乱係数や偏光解消度は巻雲に関する興味深い情報を提供しており、ゾンデ観測された気象・水蒸気・オゾンデータと対応させた解析により、新たな知見が得られると期待している。一方、オゾン変動場の再解析に向けた大循環モデル・化学輸送モデルの改良や力学的解釈の新しい手法の提示など、モデル利用の分野でも興味深い進展が得られている。来年度は、欧米やオーストラリアの研究グループが大規模な航空機観測を計画しているが、我々研究グループも独自性を維持しつつ観測網の展開に協力する予定で、研究の更なる発展が期待できる。
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