研究概要 |
地層の累重様式をダイナミックに理解するために,発達過程を100年誤差で捉えようという試みである.本年度は「三角州システム」の研究を実施した.成果は以下の通りである. 1.矢作川三角州(愛知県西尾市)で,地表面下の完新統に4本のボーリングを実施した.それぞれの掘削深度は,40m,34m,23m,21mである. 2.それぞれのコアの完新統は基底礫層とその上位の下部砂泥層,中部泥層,上部砂礫層に区分できる. 3.中部泥層の上部から上部砂礫層は矢作川三角州の前進堆積体であり,中部泥層は縄文海進時に広がった内湾泥底堆積物で,それ以下は海進期のエスチャリー堆積物である. 4.採取したコアについて,さらに詳細な地質柱状図を作成し,その堆積相解析を進めている. 5.堆積物には洪水堆積物が顕著に発達することがわかった.これらはハイパーピクナル流からの堆積物で,新しい発見となる成果であった. 6.採取したコアから,有機物や植物化石,あるいは貝化石を細かく採集して,年代測定試料とした.測定は42試料である. 7.下部砂泥層中に鬱稜-隠岐(U-Oki)火山灰を発見した.その年代は9300yBPである. 8.現在,年代値と堆積相解析の結果を検討している.
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