研究課題
基盤研究(A)
大陸衝突に伴う陸源物質の深部沈み込みにおいて、物質内でH2O流体の循環が起こっていることを示す実証データを多く蓄積した。その結果から、沈み込み物質内で交代変成作用が起きていることが確実となり、それを説明するモデルとしてIntraslab UHP Metasomatismを提唱した。深部に沈み込んだケイ酸塩岩からH20流体が放出され、沈み込み物質内、特に炭酸塩岩中に浸透することにより強い交代変成作用が起こること。また、その過程でダイヤモンドが形成される可能性などを示した。超高圧化で循環するH2O流体には様々な成分の溶解が想定される。TiO2はその一つであり、コクチェタフ超高圧変成岩の例では、ダイヤモンドを含まないdolomitic marble中にTi-clinohumiteが形成されており、このTiの起源は流体中に溶解したTiであることが示された。これも、H2Oの活動度の高さを示しており、高すぎるH2O化活動度下では、炭酸塩岩中でもダイヤモンドの形成が起こらず、炭素はH2O流体に溶解していることが示唆された。この岩石中のdiopsideには最低でも850PPM程度の(OH)基が含有されることがマイクロFTIR測定で明らかになった。このことはこの岩石が超高圧化で、H2O活動度の高い環境で形成されたことを示すデータとなった。このdiopsideは含K-ケイ酸塩離溶相を含まないことが、ダイヤモンドを含む炭酸塩岩と異なる点であり、K2OのH2O流体への"流失"を示している可能性がある。電気石を含む石英長石質岩で、K-電気石を発見した。K-電気石はこれまでに報告の無い種であり、新鉱物として認定される可能性がある。この電気石にはKの多いコアの部分にダイヤモンドが包有される。この電気石も超高圧下での揮発性成分の活動度の高さとそのキャリアーとしてのH2Oの存在を示している。
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