研究課題/領域番号 |
15204051
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
清水 洋 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60090544)
|
研究分担者 |
高橋 嘉夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10304396)
鈴木 勝彦 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, グループリーダー (70251329)
|
キーワード | 白金族元素 / Re-Os同位体系 / 化学状態 / XAFS / マルチトレーサ / 海水 / 堆積物 / 鉄隕石 |
研究概要 |
白金(Pt)やオスミウム(Os)など白金族元素やレニウム(Re)の、濃度ならびに化学状態の研究、および白金族元素に関連するRe-Os同位体系の研究により、地球表層の物質循環と地球表層環境の変遷を明確にすることが、本研究の大きな目的である。本年度の研究成果の概要は次の通りである。 1.海水から堆積物へのReとOsの除去過程の解明 複数のRI核種からなるマルチトレーサを用いた岩石-水反応と、XAFSによる堆積物中のReとOsの化学種の直接測定により、海水から堆積物へのReとOsの除去過程の解明を行った。この研究は、堆積物のRe-Os系の地球化学的意義を考察する際の、基礎となる。 (1)ReとOsは、海水中では、ReO_4^-やH_3OsO_6^-などの陰イオンとして溶解している。 (2)Reは、還元的環境ではわずかに堆積物へ移動し、酸化的環境では海水中に溶存したままである。堆積物中におけるReの主要な化学種は、ReO_4^-である。 (3)Osは、広範囲の酸化還元状態において、海水から堆積物へ除去される。 (4)堆積物におけるOsの主要な相は、Fe-Mn酸化物と有機物であり、これらの相においては、各々Os(IV)とOs(III)の化学種と考えられる。 (5)海水中のOs(VIII)はOs(IV)への還元作用によりFe-Mn酸化物やケイ酸塩鉱物の表面に吸着し、還元的な堆積物中における続成過程において、さらに還元されて有機物と錯体を形成すると考えられる。 2.鉄隕石中の微量のOsの化学種の決定 鉄隕石中にppmオーダーで含まれているOsについて、化学種のXANESによる直接測定方法の改良を行い、より厳密な議論が可能となった。
|