マイクロ波帯の大面積放電によるジャイアント・プラズマプロセスの創出

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15204053
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 菅井 秀郎 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40005517)
• 研究分担者: 近藤 道雄 産業技術総合研究所, 太陽電池スーパーラボ, 副ラボ長 ; 石島 達夫 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (00324450) ; 豊田 浩孝 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (70207653) ; 神田 稔 日本高周波株式会社, 技術顧問
• キーワード: マイクロ波放電 / 表面波プラズマ / 大面積プラズマ / スロットアンテナ / 太陽電池 / 液晶デイスプレイ / 微結晶シリコン / シリコン酸化

研究概要

本年度得られた研究成果は次の通りである。
(1)スロット励起マイクロ波放電プラズマ生成においては、マイクロ波透過用の石英板で真空シールするのが通例である。しかし、メートル級の大型プラズマを作る場合、大気圧で割れないためには分厚い高価な石英板とそれを支持する金属部が必要となり、実現が難しい。この問題を避けるため、導波管とスロットを真空内に挿入する独創的な方法(真空容器内励起法)を考案した。
(2)真空容器内励起法の有用性を試験するため、2.45GHzの放電で1m x 0.3mの長尺プラズマの生成実験を試みた。まず、スロット理論とシミュレーションに基づいてアンテナ系を設計した。このアンテナを用いて放電を行い、均一な高密度プラズマの生成が確認され、次の915MHz放電による本格実験の指針が得られた
(3)太陽電池用の微結晶シリコン膜の作製実験において、石英窓が多量の水素ラジカルによって侵食され、発生した不純物酸素が膜中に混入することがわかった。これを防ぐには石英の代わりにアルミナを用いればよいことを見出した。
(4)液晶プロセス用の低温シリコン酸化の実験において、通常のAr希釈O_2放電に微量のH_2を添加すると、酸素ラジカルが急増することを見出した。

研究成果

• [文献書誌] K.Nakamura, M.Ohata, H.Sugai: "Highly-Sensitive Plasma Absorption Probe for Measuring Low-Density High-Pressure Plasmas"Journal of Vacuum Science and Technology. A21・1. 325-331 (2003)
• [文献書誌] K.Ostrikov, I.B.Denysenko, S.V.Vladimirov, S.Xu, H.Sugai, M.Y.Yu: "Low-Pressure Diffusion Equilibrium of Electronegative Complex Plasmas"Physical Review E. 67. 056408-1-056408-13 (2003)
• [文献書誌] E.Abdel-Fattah, H.Sugai: "Electron Heating Mode Transition on Observed in a Very High Frequency Capacitive Discharge"Applied Physics Letters. 83・3. 1533-1535 (2003)
• [文献書誌] I.Ganachev, H.Sugai: "Advanced Large-Area Microwave Plasmas for Materials Processing"Surface and Coatings Technology. 174-175. 15-20 (2003)
• [文献書誌] E.Abdel-Fattah, H.Sugai: "Influence of Excitation Frequency on the Electron Distribution Function in Capacitively Couples Discharges in Argon and Helium"Japanese Journal of Applied Physics. 42. 6569-6577 (2003)
• [文献書誌] 菅井秀郎(分担執筆): "「マイクロ波プラズマの技術」電気学会・マイクロ波プラズマ調査専門委員会編"オーム社. (2003)
• [文献書誌] 菅井秀郎(分担執筆): "「プラズマの生成と診断」プラズマ・核融合学会編"コロナ社. (2003)