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2003 年度 実績報告書

多元素配位子をもつ遷移金属錯体の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15205010
研究種目

基盤研究(A)

研究機関大阪市立大学

研究代表者

中沢 浩  大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00172297)

キーワードシリル転位反応 / メタラホスファシクロプロパン / メタラホスファシクロプロペン / C-C結合切断反応
研究概要

遷移金属配位圏内で、シリル基が転位することによる新規反応を見いだした。
シリル置換ホスフイン,PR_2SiMe_3と、Cp(CO)_3MoMeを含むTHF溶液に光照射を行うと、Mo-P-Cの3員環メタラサイクル錯体,Cp(CO)_2Mo{PR_2CMe(OSiMe_3)-κC}が生成することを見いだした。この反応は、Moに配位したシリルホスフィン上のシリル基が、アシル配位子中の酸素原子へ1,4-転位することにより起こる前例のない反応である。また、このメタラサイクル錯体とBF_3・OEt_2との反応により、ホスファメタラシクロプロペン錯体が生成することを見いだした。この反応は3員環上のOSiMe_3基をルイス酸により陰イオンとして引き抜き、歪みのある3員環をさらに歪みの大きいMo=C二重結合をもつ3員環に変換する興味ある反応である。
また、シリル鉄錯体Cp(CO)_2FeSiMe_3をMeCN共存下光照射を行うと、アセトニトリルのC-C結合が切断されることを見いだした。シリル基と類似のアルキル基、ゲルミル基、スタニル基をもつ鉄錯体では、アセトニトリルのC-C切断反応は起こらず、この反応はシリル基に特徴的な反応である。この反応はη^2-配位したアセトニトリルの窒素原子に、鉄上のシリル基が転位してイミン錯体となり、その後C-C結合が切断されることが分かった。シリル基が鉄からニトリルの窒素原子へ転位する原因として、シリル基の正の分極が考えられる。アルキル基やスタニル基はむしろ負に分極している。η^2-配位したアセトニトリルの窒素原子は負電荷を有しているため、正に分極したシリル基が転位しやすいと言える。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Ishlyama: "Formation of Novel Phosphide Dichloride Zr Complex from Trichloride Zr Complex with a Secondary Phosphine-pendant Cyclopentadienyl Ligand : Structure of [η^5-C_5H_4(CH_2)_2PMes-kP)ZrCl_2(N-methylimidazole)_2](Mes=2,4,6-trimethyl phenyl)"Chemistry Letters. 32・1. 70-71 (2003)

  • [文献書誌] T.Ishiyama: "Synthesis and Characterization of Some Zirconium and Hafnium Complexes with a Phosphide-Pendant Cyclopentadienyl Ligand"Organometallics. 22・5. 1096-1105 (2003)

  • [文献書誌] H.Nakazawa: "C-C Bond Cleavage of Acetonitrile by a Carbonyl Iron Complex with a Silyl Ligand"Organometallics. 23・1. 117-126 (2004)

  • [文献書誌] K.Fujisawa: "Copper(II) Complexes with a novel tris(3,5-diisopropyl-1-pyrazolyl)-methane ligand, [Cu(X)_2(HC(3.5-^iPr_2pz)_3)(X=Cl and NO_3)"Inorganic Chemistry Communications. 7. 330-332 (2004)

  • [文献書誌] H.Nakazawa: "Transition Metal Complexes Bearing a Phosphenium Ligand"Advances in Organometallic Chemistry. 50. 107-143 (2004)

  • [文献書誌] 中沢 浩: "化学便覧 基礎編 改訂5版"日本化学会編. 946 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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