研究概要 |
本研究では、炭素-炭素および炭素-ホウ素結合形成の両面から、触媒的有機合成反応の開発を目的としている。 1.芳香族C-H結合の触媒的直接ホウ素化反応(担当:石山、宮浦) Ir-bipyridine錯体が高い活性を示すことを見出し、触媒サイクルと合成化学的利用に関する調査を行った。反応の精査、ケイ素化合物合成への展開、さらには芳香族化合物以外のsp2-CH結合のホウ素化に発展させた。 2.末端アルキンの内部選択的ヒドロホウ素化反応(担当:山本、宮浦) ボラジンを用いたアルケン、アルキン類の触媒的ヒドロホウ素化を開発した。アルケンにはロジウム触媒系がアルキンには白金触媒系が効果的であることがわかった。 3.有機ボロン酸のロジウム触媒グリニャール型付加反応(担当:宮浦) ロジウム触媒存在下アリールボロン酸がアルデヒド、イミンに付加反応を行うことは先に報告した。このようなグリニヤール型付加反応は典型金属で一般的であるが、遷移金属触媒では極めて希な反応例である。この反応を精査し、反応の適用限界の拡張、触媒効率の改善、さらには未だ成功例のない不斉付加への展開を行った。 4.触媒的アリルホウ素化反応(担当:石山、山本) 我々は最近、アリルボロン酸ピナコールエステルの付加反応がルイス酸触媒で加速され高いジアステレオ選択性を発現することを報告した。パラジウム触媒を用いた反応を調査した結果、新たにアリルホウ素試薬のγ選択的クロスカップリング反応を開発し、不斉クロスカップリング反応を達成した。 5.触媒的分子内付加反応(担当:山本) パラジウムおよびロジウム触媒を用いる有機ボロン酸の不斉1,4-付加それに続く分子内付加により光学活性クロメンおよびインデンの合成に成功した。 6.有機ボロン酸の分子内グリニヤール型付加反応(担当:宮浦、山本) 分子内ケトンカルボニル基に対するロジウム触媒付加環化反応について精査した、不斉付加反応に展開すべく不斉配位子の検討を行った。 計画3,4において17年度に開発した2座ホスホロアミダイト配位子の効果を調査した。また、新たに2座ホスホロアミダイト配位子を用いた不斉水素化反応を検討し、最高99%eeを達成した。
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