研究課題/領域番号 |
15205022
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
菊池 純一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (90153056)
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研究分担者 |
池田 篤志 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (90274505)
橋詰 峰雄 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (40333330)
佐々木 善浩 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (90314541)
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キーワード | ナノバイオ / 人工細胞 / 有機-無機複合体 / 自己組織化 / 分子デバイス / セラソーム |
研究概要 |
本研究では、我々が開発した高強度の人工細胞膜「セラソーム」の特徴を活かして、人工の多細胞組織体を構築し、その有機-無機複合界面の分子認識特性を利用して、分子デバイスとしての新規機能を探索するとともにその相互作用や機能因子の体系化を目指した。すなわち、これまで人工系では取り扱うことが困難であった分子組織体としての高次の細胞機能を、セラソームのような人工細胞系を用いて具現化しようとするものであり、本年度は以下の成果が得られた。 1.人工細胞の階層的集積化のための相互作用の体系化 脂質二分子膜構造をもつ人工細胞の組織化には、セラソームのような構造安定性に優れた人工細胞膜が極めて有効であり、そのための階層的集積化の手法としては、静電相互作用や配位相互作用などの分子間相互作用を多点で複合的に活用することが重要であることを、水中ならびに基板上への様々な人工細胞の集積挙動の例を提示することで明らかにした。 2.人工細胞膜系での分子デバイス機能発現のための機能因子の体系化 セラソーム等の人工細胞膜を基板に用いた分子デバイスの有効性を、人工受容体と天然酵素の分子間コミュニケーションシステムの構築とその論理応答機能の発現から明らかにした。また、分子認識の論理応答にもとづいた人工細胞の可逆的集積系の構築も可能であることを示した。高効率での電荷分離が可能なフラーレンを組み込んだ人工細胞を分子デバイスとして利用できることもわかった。このような分子デバイスとしての人工細胞の機能は、分子、イオン、光、熱などの入力信号によって制御できることを多くの例で提示した。 以上のことから、有機-無機複合体の概念をとりいれた人工細胞は、バイオ・ナノサイエンスの融合領域研究において、分子デバイスなどの自己集積材料として有効であることを明らかにした。
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