研究概要 |
ナノサイズ強磁性トンネル接合素子の作製 ・収束イオンビームを用いて,タングステンマスクパターンを作製し,これを用いることにより,最小400×400nm^2のトンネル微小接合を作製し,約30%のMR比を得た. ・電子ビームリソグラフィーを用いることで,0.25〜100μm^2の接合を作製した. ・原子間力顕微鏡(コンタクトモード)で微小トンネル接合の磁気抵抗曲線(MR曲線)を測定する装置を製作した.これを用いて2×0.7μm^2の接合のMR曲線を測定し,29%のMR比を得た. コプレーナ線路からの高速パルス磁界応答信号の測定 ・トンネル接合における強磁性電極の磁化反転に伴うトンネル電流の応答信号測定用プローブシステムを製作し,パルスの立ち上がり時間が50ps,応答信号の帯域が20GHzの特性を得た. ・トンネル接合のパーマロイ層の磁化反転信号を測定し,500ps以下の反転時間および反転後の才差運動を観測した.これらの信号はLLG方程式による計算結果とほぼ一致した. ポンププローブ法による磁化の才差運動の測定 ・500psよりも更に速い時間スケールの磁化の変動を測定するため,ポンププローブ測定が可能な光学系を構築した.粗動Delay lineは精度100fs,最長10nsの,微動Delay lineは精度40fs,最長1.3nsのポンプ光の遅延が可能である. ・180×90μm^2のパーマロイ薄膜の磁化の才差運動によるシグナルを測定し,1ns以下の振動周期を観測した.得られたシグナルを解析し,ダンピング定数α=0.008を得た.この値は強磁性共鳴から得られた値と一致した. ・Pt/パーマロイ/Pt接合の磁化の才差運動を測定し,Ptでパーマロイを挟むことにより振動の減衰が増大する(αが増大する)ことを直接的に観測した.
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