研究課題
本研究では、層状ダブルペロブスカイト酸化物A(RE)B_2O_<5+δ>(A,RE,Bはそれぞれアルカリ土類金属、希土類、遷移金属元素)を中心とした物質群において、(1)組成と原子配列、(2)電子状態、(3)電気/スピン伝導物性を総合的に研究し、100%スピン偏極度を持ちスピンエレクトロニクス応用が期待されているハーフメタル材料を創製することを目的とする。本年度の主な研究成果を以下に列挙する。●酸素欠損型ダブルペロブスカイトと類似な構造を持つカチオン欠損型ペロブスカイトMn酸化物(LaMn)_<1-x>O_3のハーフメタル化を目指し、カチオン欠損量と物性との相関を探究した。超高圧下酸素添加反応を用いることにより、過去に報告例のない大きなカチオン欠損量(x_<max>~0.12)を持つ試料を得ることに成功した。試料の物性とカチオン欠損量の相関を系統的に調べた結果、(LaMn)_<0.901>O_3試料においてハーフメタル物質に特有である低磁場で鋭い磁気抵抗ピークを観測した。本物質のバンド構造をLDA+U法により計算した結果、(LaMn)_<0.901>O_3がハーフメタル状態であることが示唆された。●酸素欠損型層状ダブルペロブスカイトCo酸化物:BaNdCo_2O_<5+δ>の酸素不定比性とそれに伴う磁気特性、及び磁気輸送特性との相関について、酸素量を精密に制御した試料を用いて研究を行った。その結果、本物質の物性が酸素量に強く依存しており、Coの原子価状態及びスピン状態が重要な役割を果たしていると考えられる。特に、δ=0.5より僅かに酸素量を減らした試料においてハーフメタル物質に類似の物性が観測され、高いスピン偏極度を持つ"half-semiconductor"である可能性が示唆された。
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