研究課題
平成15年度に、SPring-8において高エネルギー光電子分光を運動エネルギー6keVまで本格的に行える装置を設計・製作した。平成16年度に、これを10keVまで引き上げる計画を立てた。7月に行ったテスト実験の結果、1)アナライザーの耐圧を8kV以上にできない、2)高精度電源ボードの近くに熱源が有り電圧の不安定性を引き起こしている、3)MCPとCCDの最小空間分解能が非常に近いためにモアレによるノイズが現れる、等いくつかの致命的問題点が見出された。そこで、アナライザーメーカーに装置全体を送り返し、問題解決のための改良を依頼した。その結果、平成16年度10月に行ったテスト実験では非常に安定した動作が確認され、8keVのX線励起で75meV、10keVのX線励起で90meVのエネルギー分解能で測定できることを確認した。また、Au等の標準物質の光イオン化断面積の測定を試みた。この実験ステーションをSPring-8のBL47XUアンジュレータービームラインにつなぎ、次々世代高誘電率ゲート絶縁膜として注目を集めているLaO_x/Si(100)界面構造の熱安定性を、フォトン・エネルギー5.95keVの高輝度放射光を用いて角度分解La 3d・Si 1s光電子スペクトルを測定し、その結果に最大エントロピー法を適用することにより調べた。その結果、熱処理温度が400℃を越えると、LaO_x/Si(100)界面においてランタンシリケートが形成され始めることを明瞭に捉えることができた。この結果は、ラザフォード後方散乱法により決定される元素組成の深さ方向分布を出発点として角度分解La 3d・Si 1s光電子スペクトルに最大エントロピー法を適用することにより決定した遷移層とシリコン基板との界面が移動し始める熱処理温度からも確認することができた。これに加えて、アモルファスSiのレーザーアニール、プラズマドーピングによって形成された極浅Bドーピング層、スピンエレクトロニクス系薄膜材料(Ga_<1-x>Cr_xN、(La、Ba)MnO_3)、ダイアモンド薄膜などの評価を試み非常に良好な結果を得た。
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