研究概要 |
研究開発フェーズを3つに分け、それぞれの実施目的に応じてデバイス構造を検討した。研究期間に得られた主な成果の概略を以下に箇条書きでまとめる。 1)第1フェーズは波長アドドロップ機能を確認であり、複合導波路や集積するグレーティング素子の設計・作製ならびに基本特性の評価を軸として、基本構造の検証を行った。 2)第2フェーズでは、パワーペナルティの配分を検討し、信号伝送に必要な挿入損失の低減を軸に研究を展開し、必要なデバイスを設計、作製・評価した。グレーティングカップラを構成するためのSi-N高屈折率層をグレーティング領域のみに作製するデバイスを検討し、その波長多重光配線としての特性も改善されることを明らかにした。 3)第3フェーズでは、Gbpsクラスの波長多重信号伝送実験を目指し、その要素技術の開発を行った。信号光の入出力に光ファイバを用いて、作製した光配線による波長多重信号実験を行った。ファイバ間距離数mmで位置合わせ精度が数十nmを実現可能な治具を設計・作製した。2波長同時に1Gbpsの信号伝送行い、明瞭なアイパターンが得られることを実証した。作製した光配線のそれぞれのチャネルの挿入損失は-17dB程度、クロストーク雑音は-10dB以下であった。 4)また,受光部の回路モデルを開発した。受光部のフォトダイオード,トランスインピーダンスアンプおよびバンドパス回路をモデリングし,実測比較によりモデル検証を行った。その結果,受光感度特性,周波数特性,出力特性を1%以下の精度でシミュレーション可能であることを確認した。 5)有機原料を用いたプラズマCVD法により炭素含有量の極めて少ない窒化シリコン膜を堆積する手法を確立した。基板温度やガス組成比などの堆積条件を変化させることで、屈折率を1.79から1.98の範囲で変化できた。また、12インチウエハに対応できる大面積基板への堆積を実現した。
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