研究概要 |
本研究では6インチ角ガラスマスク基板上の多層膜欠陥の高速,かつ高分解な検査法として,位相差極端紫外顕微鏡を開発し,マスクパタンを直接拡大観察し,かつ位相欠陥を同時に観察することを狙いとしている. 予備検討として進めてきたEUV顕微鏡での観察で.250nmの線幅をもつデバイス用マスク(吸収体にはTaBN)が観察できた.これは露光装置の縮小率が1/5なので,転写後では50nmの線幅に相当する.さらにTaBNとCrを吸収体とするマスクでの解像度比較を進めた.Crに比べ,TaBNの表面ラフネスは小さく,吸収体表面での散乱が抑えられるため,解像度も向上することが明らかになった.従来,吸収体の面粗さは無視されると考えていたが,はじめてその影響を明らかにした. また,ニュースバルビームラインに開発する装置を設置する環境の整備を進め,とくに,(1)Schwarzchild光学系,(2)ミラウ干渉機構部の開発を進めた.(1)のSchwarzchild光学系はZerodurの凹凸ミラーとも形状精度0.4nm以下,粗さも0.2nm以下という極めて良好な性能のものを入手できた.現在d-gradedなMo/Si多層膜の製膜中である.(2)のミラウ干渉機構では,まず駆動系として1枚のPZTと静電容量センサでの非線形性の補償回路を設けたものを製作し,3nm±0.2nmのStep駆動を得,干渉制御の見通しを得ている.ビームスプリッターに使用するMo/Si多層膜の成膜技術は中古装置に更改し,これまでに13.5nmで61%(目標68%)を確認でき,ビームスプリッター作りの見通しを得ている.これらを組み合わせて16年度後半から観察実験をおこなう.
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