研究課題/領域番号 |
15206010
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
木下 博雄 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 教授 (50285334)
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研究分担者 |
渡邊 健夫 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 助手 (70285336)
格内 敏 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10101130)
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キーワード | X線顕微鏡 / EUVリソグラフィ / 欠陥検査 / 位相欠陥 / ミラウ干渉 / 多層膜 |
研究概要 |
本研究は、次世代リソグラフイ技術である極端紫外線露光法を2009年までに実用化するために、その課題の一つであるマスク基板の無欠陥化を目標とする。このため、多層膜が形成されたガラス基板上の欠陥を露光光と同一のEUV光で直接観察し、さらにミラウ型の位相差干渉顕微鏡の構築により、サブナノメートル(0.03nm)の微細な表面界面の3次元像の形成を実現させる。 H17年度は1)多層膜の製膜技術、2)ビームスプリッタの製作技術、3)プログラム欠陥をもつ位相欠陥マスクの検査、を進めた。1)については、これまで用いていたマスク(スパッタターゲットとサンプル間に設置する遮蔽板)の形状の最適化を進め、4インチサンプル面上での膜厚分布0.15%以下とすることができた。2)については、これまでの失敗の原因がプロセス最終段のSiN2μmのエッチング時の冷却、ならびにエッチング速度のばらつきにあった。エッチング時の冷却効果を高めるために、サンプルと基板との間にSiゴムを敷いて行った。エッチング速度のばらつきに対しては、より化学的加工を高めるよう条件を探索した。3)のプログラム欠陥に対しては、HOYAの協力を求め、高さ5nm、幅90nm〜500nmの凹凸欠陥をもつガラス基板に多層膜を形成したマスクにて評価を進めた。この結果、凹、凸とも5nmの高さで90nmの幅をもつ位相欠陥の観察を世界で初めて実現できた。 本研究課題の位相差型顕微鏡の開発は、ビームスプリッタの製作の困難さから、現時点では実現できなかった。しかしながら、極端紫外線領域での顕微鏡により位相欠陥の観察が可能となり、ほぼ初期目標を満足させることが出来たと考えている。この種の位相欠陥の観察として、ゾーンプレートを用いる方式も米国Berkeley研究所で行われているが、本方式が解像度、観察領域ともに優れている。 今後これ等の成果は、極端紫外線リソグラフィのマスク評価として、HOYA,旭硝子、Seleteの国内機関の他、Samsung電子等に解放し、利用研究が進められる。
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