研究概要 |
本研究では,薄膜金属ガラスと,その微細加工法に関する基礎的,応用的研究を発展させ,従来に無い優れた特性を有するMEMS材料の実現と,三次元立体MEMSの製作を目的とした.具体的には,以下の項目について検討,解明した. ◎基礎的研究 ・新しい薄膜金属ガラスの探索:コンビナトリアルアークプラズマ蒸着法により,Ru基の薄膜金属ガラス(Ru_<75>Zr_<24>Al_1,ガラス転移温度(Tg)902K,結晶化開始温度(Tx)973K)を発見.また,多元同時スパッタ法で,Cu基薄膜金属ガラス(Cu_<50>Zr_<50>,Tg:672K, Tx:715K)を,製作した. ・特性の評価:Ru基薄膜金属ガラス,Cu基薄膜金属ガラスの機械的特性を測定した.両金属ガラスとも,良好な機械的特性を示し,引張強度1GPa以上を達成した. ・特性の改善:Pd基薄膜金属ガラスの過冷却液体域での焼きなましにより,電気抵抗率の低減,縦弾性係数の増大など特性改善を行った. ◎応用的研究(三次元立体MEMS) ・多自由度マイクロアクチュエータ:薄膜金属ガラスの三次元成形を利用した立体構造を用い,圧電薄膜により,2自由度の変位が可能な多自由度マイクロアクチュエータを実現した.圧電薄膜の改良により,2自由度で,それぞれのストローク10μmを実現した. ・マイクロブロー成形による立体構造:中薄膜金属ガラスの新しい三次元微細加工法として,マイクロ流体素子等に適用できる微細中空構造の製作に利用可能な,マイクロブロー成形の提案した.まず,封入Arガスを用いたマイクロブロー成形を検討した,つぎに,発ガス材として窒化銅を用いたマイクロブロー成形について検討し,20μm間隔で直径100μmの微細中空構造を集積した. ・能動電子素子:薄膜金属ガラスの立体構造を利用した可変マイクロインダクタを検討し,高さを変化させることで,インダクタンスを3%変化させることに成功した.
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