研究概要 |
平成15年度は紫外レーザトラッピングおよび変調光放射圧制御に関する基礎現象の解明と基本技術の開発を行い,以下の研究成果を得た. 1.直径数μmの誘電体微粒子に入射した場合の光学条件をモデル化し,光放射圧理論と有限差分時間領域法(FDTD法)に基づいた計算機シミュレーションを遂行した.本シミュレーションにより,レーザ光強度や偏光状態,対物レンズのNAや微粒子及び媒質の屈折率など種々の光学パラメータを設定し,大気中における誘電体微粒子のレーザトラップが実現できる条件を定量的に明らかにした. 2.紫外レーザ光源(波長354.7nm)として,高出力で出力安定性,コヒーレンス性に優れ,スタビリティの高い半導体励起YV04UVQ-switchレーザ(DPSS Laser(株)・Model3510-30)および観察用顕微鏡光学系,輪帯照明光学ユニット,紫外光用ダイクロイックミラー,高NA紫外光用対物レンズおよび微粒子などから構成される,紫外光レーザトラッピング基本光学系を構築した. 3.プローブ球として用いる粒径3〜5μmのシリカ微粒子を用いて,水中および大気中レーザトラッピング実験を遂行した.微粒子については,親水性および疎水性コーティング処理によって特性が異なる場合の挙動を調べ,さらに微粒子を捕捉する際に散布する基板についても,ソーダガラス製,金蒸着面およびシリコンウェハなどを用いた基本特性について調べた.プローブ球のトラップ位置やレーザ出力とトラッピング状態および力学的挙動について検証した. 4.大気中で3次元捕捉したプローブ球に,強度変調および偏向走査されたレーザ光によって変調光放射圧を作用させたときの,XYZ方向の振動状態を計算するシミュレータを構築し,それを用いた解析によって,振動振幅や周波数数追従性などの基本特性を理論的に明らかにした.
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