研究課題
パルス幅が100ナノ秒程度以上の高繰り返しパルスパワー発生装置の開発をこれまで行い、大気圧気体中及び液体中における大容量の放電プラズマの生成に成功した。このパルスパワー発生装置の利用は、環境、バイオ、リサイクル、医療福祉関係にまで発展し、新しい産業分野を形成しようとしている。本研究目的は、本科研費終了後の産業利用を目指し、パルス幅をナノ秒と極短パルスにした高繰り返しナノ秒パルスパワー発生装置を開発する。出力電圧と電流は、数百kV、数十kAまでとする。さらに、発生したナノ秒パルスパワーを用いて、気体中、水中及び固体中で放電プラズマを生成し、バイオ、生体、化学物質等との相互作用を調べ、ナノ秒パルスパワー応用としての次世代産業利用の基礎を築く。今年度の研究実績は下記のようである。@パルスパワーによって水中ストリーマ状放電をつけ、湖沼のアオコや赤潮の殺藻を行った。水中ストリーマ状放電によりアオコの細胞内ガス胞がつぶれ湖沼の底に沈むことが分かった。その際、細胞自身は死滅することはなく、太陽光などの条件が合えば、ガス胞が再生することも分かった。@パルスパワー生成放電プラズマ及びパルス電界により、芽胞菌の殺菌、大腸菌の殺菌を行い、芽胞菌はパルス電界に強いが、加熱との併用で、殺菌できることを見出した。@パルスパワーにより空気からNOの生成を行い、医療現場で使える装置の開発を目指した実験を行い、同時に生成されるNO_2の処理に関する新しいアイデアが必要なことが分かった。@パルス電界によりがん細胞のアポトーシス誘発実験を行い、サブナノ秒パルス電界を用いるとアポトーシスが誘発できることを確認した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
電気学会論文誌A, 基礎・材料・共通部門(IEEJ Transactions on Fundamentals and Materials) Vol.126, No.7
ページ: 669-674
ページ: 703-708
IEEE Transactions on Plasma Science Vol.34, No.5
ページ: 1719-1724
電気学会論文誌A, 基礎・材料・共通部門(IEEJ Transactions on Fundamentals and Materials) Vol.126, No.12
ページ: 784-787