研究課題/領域番号 |
15206030
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本久 順一 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 助教授 (60212263)
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研究分担者 |
福井 孝志 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (30240641)
佐野 栄一 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (10333650)
楊 林 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 研究機関研究員(講師) (60374708)
佐藤 威友 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 助教授 (50343009)
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キーワード | フォトニック結晶 / 有機金属気相成長 / 選択成長 / フォトニック結晶スラブ / 時間領域差分(FDTD)法 / 線欠陥導波路 / 点欠陥共振器 / whispering gallery mode |
研究概要 |
平成16年度は、前年度までに確立させた有機金属気相成長(MOVPE)選択成長法によるフォトニック結晶(PC)の作製技術をさらに発展させると共に、その光学特性を実験的・理論的に明らかにするため、以下のような研究を行った。 まず、光通信波長帯応用に有利なInP系材料によるPCの作製を目的として、(111)B InP基板上に6角形の絶縁膜マスクを周期的に形成した基板にInGaAsあるいはInPのMOVPE選択成長を行った。InGaAsについては、成長表面の平坦性を維持しつつ、マスクパターンを踏襲したエアホール構造を形成するために横方向成長を抑制するという、両者の要求を満たすための選択成長条件のウィンドウが狭いという問題があるものの、ある程度のInGaAs膜厚までは、良好な周期400nmのエアホール構造が形成可能であることが明らかとなった。一方、InPでは、InGaAsと比べ、広範囲の条件で、周期400nmのエアホール構造が形成できることが明らかとなった。これらの結果をもとに、周期500nmのInP/InGaAs/InPヘテロ構造を有するエアホール型PCを作製し、低温においてInGaAs層からの発光を確認した。一方、GaAs系PCについては、共振器や導波路構造の作製を目的として、MOVPE選択成長に用いるマスクパターンを工夫することにより、PCに点欠陥あるいは線欠陥を導入したエアホール型PCの作製に成功した。 最後に、3次元時間領域差分(FDTD)法による電磁揚シミュレーションにより、6角形のエアホールあるいは誘電体6角柱からなるPCおよびPCスラブのフォトニックバンド構造や、線欠陥フォトニック結晶スラブ導波路の伝搬特性について理論的検討を行い、PCスラブ作製の指針となるギャップマップと導波路の分散曲線を計算した。また、電磁場解析に必要な計算量を減らすために、高い屈折率差を有するPCスラブでも適用が可能となるよう、修正した有効屈折率によるPCスラブのギャップマップおよび導波路の分散曲線を計算する手法を開発した。さらに、MOVPE選択成長により形成が可能な6角柱構造中で存在が可能な、内部全反射による周回モード(whispering gallery mode, WGM)を解析的な手法により計算し、直径200nmのGaAs 6角柱においては、波長0.7〜0.8μmの領域に、モード次数の低い周回モードが存在し得ることを示した。
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