研究概要 |
本基盤研究では、申請者らが培ってきたCVDにおけるラングミュア型吸着・反応制御技術を駆使して、Si,Ge,C等の異種(ヘテロ)元素を一層ずつ任意に積層するヘテ直積層技術を開発し、これを駆使した新しいIV族半導体原子層積層ヘテロ人工結晶を創成し、その新規物性を明らかにすることを目的とする。本年度はその第2年目として、原子層積層ヘテロ構造積層と原子層ドーピングの研究を進めた。具体的には、基板非加熱下での低エネルギーECR Arプラズマ照射による表面反応によるSi(100)の原子層窒化制御、及びその表面でのIV族半導体の低温エピタキシャル成長の研究について研究を進めた。その結果、Si(100)の原子層窒化制御条件を見いだすと同時に、その上へのSiエピタキシャル成長条件を見いだし、基板非加熱下でのプラズマプロセスによる原子層ドープIV族半導体ヘテロ構造の形成を可能にした。作製した原子層ドープSi結晶薄膜における窒素原子濃度の深さ方向分布を調べた結果、ほとんどの窒素原子は約2nm以内の極薄領域に取り込まれており、その最大濃度は2x10^<21>cm^3(約4%に相当)を越えることを見いだした。また、低エネルギーECR Arプラズマ照射によるSi(100)上でのGeH_4反応により、基板非加熱下での高平坦歪Geエピタキシャル成長制御を実現した。特に、約1nm厚さの歪Ge薄膜においては、ほぼSi(100)基板に格子整合し、ほとんど歪緩和していないことを見いだした。これらの結果は、従来の熱分解反応を用いたCVD法では実現が困難であったものであり、低エネルギープラズマプロセスによる原子層積層構造の高品質化の可能性を示すものである。以上のように、新規物性発現のための高品質IV族半導体原子層ヘテロ積層膜の実現において重要な成果を得た。
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