研究課題/領域番号 |
15206034
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
冷水 佐壽 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (50201728)
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研究分担者 |
下村 哲 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (30201560)
北田 貴弘 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (90283738)
小川 真人 神戸大学, 工学部, 教授 (40177142)
小倉 睦郎 産業技術総合研究所, 光技術研究部門, グループ長(研究職) (90356717)
菅谷 武芳 産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 主任研究員(研究職) (60357259)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 面発光レーザ / 量子細線 / InGaAs / InAlAs / (775)B GaAs基板 / (775)B InP基板 / 偏光制御 / 分布型ブラッグ反射器 |
研究概要 |
量子細線を面発光レーザの活性層に用いると、電流を増加すると出力された光の偏光方向が90度変わる偏光スイッチの問題が解決できると期待される。細線方向に偏光した光に対して優先的な光学利得をもつからである。長波長帯では、この問題を解決した報告はない。本研究では、高指数面基板上のMBE成長を用いて(i)高密度(3×10^5cm^<-1>以上)、(ii)高均一(PL半値幅10meV以下at 20K)、(iii)高い横方向閉じ込めエネルギー(30meV以上)、(iv)高品質(レーザ・クオリティ)の4条件を同時に満たす良質な半導体量子細線を開発し、これらを用い室温発振する面発光レーザなどの量子細線半導体レーザを開発することを目的に研究を行った。当初の重点目標はすべて達成することができた。 (221)A InP基板上の1.3μm帯In_<0.53>Ga_<0.47>As/In_<0.52>Al_<0.48>As 3層積層量子細線において、(i)密度(4.5×10^5cm^<-1>)、(ii)PL半値幅9.7meV at 15K, 55meV at 300K、(iii)横方向閉じ込めエネルギー(91meV計算値)、(iv)ポストアニールによる大幅な光学的特性の改善の結果、高品質(レーザ・クオリティ)と研究目的に掲げた4条件を同時に満たす量子細線を開発した。この量子細線を用いたストライプ電極型のレーザは、閾値電流密度J_<th>=5.3kA/cm^3で室温パルス発振することを確認した。 一方(775)B InP基板上の1.55μm帯In_<0.67>Ga_<0.33>As量子細線では、量子細線では、(i)密度(2.4×10^5cm^<-1>)、(ii)PL半値幅44meV at 300K、(iii)3倍以上の膜厚の変調による十分高い横方向閉じ込めエネルギー、(iv)レーザ・クオリティの高い品質が得られ、数値目標の(1)だけが若干満たされていないだけである。この量子細線を用いたストライプ電極型のレーザの9素子の閾値電流密度J_<th>は平均値4.0kA/cm^3、最低値2.8kA/cm^3で室温パルス発振することを確認した。本量子細線は、面発光レーザ作製に必要な合計40μmのブラッグ反射膜を作製するため2μm/hと従来の倍の成長速度で成長する成長条件に適合した量子細線である。作製した面発光レーザは、1517nmで、室温光励起発振し、細線方向に安定に偏光していることを確認した。 さらに、(775)B GaAs/(AlAs)_1(GaAs)_6歪量子細線層を活性層に有する面発光レーザおよび(775)B In_<0.1>Ga_<0.9>As/(AlAs)_1(GaAs)_6歪量子細線層を活性層に有する面発光レーザを作製し、電流励起室温発振に成功した。発光波長769nm、細線に沿った偏光を持つレーザ光の出力と細線に垂直な偏光を持つレーザ光の出力が20dBで、高い消光比を示した。広い電流範囲で20dB以上の消光比を持つGaAs層を活性層に持つ面発光レーザの報告はなく、本レーザで、初めて高い偏光安定性が実現された。
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