研究概要 |
探針下でのCLTのナノドメイン反転の高速性に関して調べナノセカンド領域でも試料が薄ければ(<100nm)分極反転ドットが生成可能であることを見いだした.しかし一方でCLT単結晶では反転ドメインを電圧印加後も残すためには0.1sec〜2secの分極安定化時間以上電圧を印加する必要があることが報告されている. この結果は我々のナノセカンドオーダーの分極反転が可能であるという結果と矛盾している.そこで本研究ではナノドメインの高速反転が可能となった原因を解明するためにCLTの分極反転に関して詳細に調べ物理的にナノドットの超高速反転が可能であることを明らかにした. ナノ分極ドットの高速反転特性および分極反転のリアルタイム計測によるAnti-Parallel分極反転現象を報告したが,今回薄片化した一致溶融組成LiTaO_3(CLT)を試料に用い,その分極反転特性の電界及び膜厚依存性を調べ,CLTにおいてもナノセカンドの分極反転が可能である裏付けを得た.またリアルタイム計測法を用いて分極反転現象をより詳細に調べ,分極反転する領域が通常の円形ではなく,ある条件が揃うとリング状になる場合があることを見出した. また,強誘電体記録用大面積薄膜媒体として,PbTiO_3薄膜を水熱合成法により作製し単結晶に近い膜を得,そこに半径9.8nmのナノドメインドットを形成することに成功した. 最後にLiTaO_3単結晶媒体においても大面積記録媒体を作製した.即ち,従来の試料作製法では,実用上十分な面積を有する記録媒体を作製することは困難であった.そこで今回新たに,分極制御ウェットエッチング(polarization controlled wet etching ; PCWE)法によって大面積記録媒体を作製するプロセスを開発しこれを用いた実記録のビット誤り率を計測した.
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