研究概要 |
次世代超高密度強誘電体記録に関する学理を明らかにするため今年度は以下のような研究を行った。 1.薄片化単結晶媒体の大面積化. 強誘電体単結晶媒体の大面積化を行った.既に6mm□の大面積化には成功していたが,これを回転記録機用媒体として十分な大きさの14mm□に拡張することに成功した.具体的には新開発のドライエッチング法を使用し厚さの平均値48.5nmで標準偏差3.1nmの極めて均一な記録媒体を作成した. 2.10Tbit/inch^2クラスの記録密度の達成. 更に記録密度を向上される研究を行った.具体的にはドメイン反転時のバックスイッチング現象を微弱なオフセット電圧印加で安定化させる方法を考案し,10.1Tbit/inch^2の面記録密度を達成した.また実記録に置いても1Tbit/inch^2の記録密度で1.8%の記録誤りを達成した. 3.強誘電体記録の長期安定性の検証 短中期(日,月単位)では既にその安定性が実証されている,ナノドメインドットの長期安定性(年単位での)を調べた.具体的には高温度下で加速試験を行い,その結果よりアレニウス式のパラメータを決定し長期安定性の予測を行った.現状では80nmの厚さの媒体に形成した半径50nmのドットについてのみの結論であるが80℃で10年以上の寿命があることが分かった. 4.回転機型強誘電体記録装置の開発 書き込み速度の高速性を更に高めるため高速回転方式の記録再生装置を開発した. 5.記録再生用非接触SNDM法の開発 接触型プローブを用いていた従来の方法では書込読み取り用探針の寿命が短いことが前年度までの研究で明らかになったので,高次非線形誘電率顕微鏡法を応用した非接触型のSNDM方式を新たに開発した.基礎段階ではあるが約0.1Åの精度で高さ制御が可能であることが分かった。
|