研究課題/領域番号 |
15206040
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水谷 孝 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70273290)
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研究分担者 |
澤木 宣彦 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70023330)
岸本 茂 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (10186215)
大野 雄高 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10324451)
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キーワード | GaN HEMT / 電子速度 / 傾斜リセス構造 / ノーマリオフ型 / フッ素プラズマ処理 / MBE / DLTS / 深い準位 |
研究概要 |
GaN HEMTのチャネル内実効電子速度が、理論から予測される値(2.8×10^7cm/s)の45〜65%と低い値しか得られていないことに対してその原因がチャネル内の電界が十分高くなっていないことを指摘してきたが、今回この対策としてゲート電極下を斜めに掘り込む傾斜リセス構造を提案し、その有効性をデバイスシミュレーションと素子試作により検証した。作製したデバイスの電流遮断周波数を測定し、電流利得遮断周波数として従来構造に較べて12%高い値を実現した。また素子の遅延時間解析により、傾斜リセス構造HEMTの実効電子速度は従来構造に較べて23%高い値を示すことを明かにした。 高出力スイッチ素子の実現にとってノーマリオフ型HEMTの実現は電源回路の簡単化、システムの安全性向上にとって重要である。このノーマリオフ型HEMTの高性能化を図る方法としてフッ素プラズマ処理を用いる方法を検討し、その有効性を実証した。 素子の高性能化には結晶の高品質化が重要である。低温成長の特徴を有し、急峻なヘテロ界面、高いAl組成、InGaN/GaNヘテロ構造の活用等が期待できるGaN系材料のMBE成長について基本技術を検討し、サファイヤ基板の窒化条件、低温バッファー層の成長条件を明かにした。アンドープにも関わらずキャリア濃度が高く、この低減が課題である。また本MBE成長AlGaN中の深い準位の評価を容量DLTSを用いて行い、活性化エネルギー約0.5eV,0.8eVの2つのピークを検出した。AlGaNの深い準位については報告例が少なく貴重なデータである。また深い準位の濃度はストイキオメトリに近い条件で成長した場合に最も少ないことを明かにした。
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