研究概要 |
平成15年度の目標は「空間情報入力装置の構築と自由視点映像生成アルゴリズムの研究」であった.研究計画に従って研究を遂行し,以下の成果を得た. 1.通信機能と演算機能を有したイメージセンサノードの構築 小型CCDカメラ,イメージグラバボード,汎用PC,ネットワークカードを組み合わせ,イメージセンサノードを構築した.これらをイーサネットで接続することで通信機能を実現し,またOSにLinuxを採用することにより柔軟なソフトウェア開発を可能とした.これらを32台接続して,イメージセンサネットワークを構築した.また,高解像度画像が取得可能で,かつノード間で数μsec以内の同期が可能な新しいイメージセンサノードの設計を行い,3ノードのプロトタイプシステム開発およびソフトウェア(API)開発を行った. 2.自由視点映像生成アルゴリズムの検討 自由視点映像生成アルゴリズムは,当研究グループの成果である「光線空間法」を基本とした.上記の多数のイメージセンサノードの映像情報から密な光線空間を補間生成する手法を研究し,適応フィルタ法とテーブルルックアップ法の提案および性能評価を行った.適応フィルタ法では生成画像のSNRは高いものの視覚的にぼけた画像となり,一方テーブルルックアップ法では,その逆の性質があることが分かった. 3.多視点映像の情報圧縮の検討 多視点映像に対し,空間方向と時間方向の多方向予測を組み合わせることで予測効率を上げる手法を研究した.この多方向予測法は,特に空間方向と時間方向の冗長性がほぼ等しい場合において,予測効率を高める効果があることを確認した. 4.イメージセンサネットワークの最適化 イメージセンサネットワークにおける分散処理を用いて自由視点映像を生成する場合,複数のノード間で各ノードの映像情報の一部だけを共有する方式,全部の画像を共有する方式を検討し,各ノード間の通信量,自由視点映像生成に要する時間,自由視点映像の品質の観点から評価を行った.通信時間および補間時間が与えられた元での分散処理に用いるノード数の最適化を行い,最適ノード数を求める一般式を導出した.さらに,ノードの分布が一様でない場合についても最適ノード数を導出できるシミュレーションプログラムを開発した.
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