研究概要 |
1.LTS-SQUID駆動に必要な4.2Kの冷凍性能を有するパルス管(PT)冷凍機を開発した。バルブモータからの電磁ノイズの影響を回避するために通常一体で作られていたバルブモータとPT管を分離した.離隔距離1mを(長さ2.1mのフレキシブルチューブによる隔離を)実現しながら、2.4Kに到達する十分な冷却性能を達成した。 2.パルス管付近の磁気ノイズ評価のために円筒分割型で磁気シールドを作成した。これによってパルス管本体のシールド内設置と,バルブモータとの容易なリンクを可能とした.シールドのサイズは直径0.5m,長さ1.5m,使用したアモルファス磁性薄帯重量は8kgで,軽量化も同時に達成した. 3.フラックスゲート磁界センサより2桁以上高分解能な誘導コイル型磁界センサを作成した。これを用いて2の分割型円筒磁気シールド(円筒軸鉛直方向配置)内で,その径方向の環境磁気背景ノイズを,10Hzにおいて3pT/√Hz以下に低減することができた.ちなみに,2で磁気シェイキングを行わない場合は22pT/√Hz程度であったので,比較的大型の分割型シールドにおいて,磁気シュイキングの効果を実証した最初の実験結果となった. 4.分割型シールド内でパルス管が格納されたデュワー付近で観測される磁気ノイズをフラックスゲート磁界センサで評価した。商用周波数ノイズ60Hzおよびバルブモータ部から発生する45Hzの磁気ノイズはシールドにより十分低減が可能であることを確認した。冷凍機のガスサイクルに同期した0.9Hzおよび1.8Hz等の高調波磁気ノイズも観測されたが、これらの周波数に一致した冷凍機の振動を加速度計で観測した。フレキシブルホースに対策を講じることで振動を1/10程度抑えることを確認し、同時に磁気ノイズが低減されることを確認した。
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