研究概要 |
1.砂に粘土を混合して作成した砂泥質土の波浪作用下における液状化と高密度化特性,および粗粒化と地形変化特性について,実験的に明らかにした.透水性の低い粘土を含有して形成された砂泥質土は,初期に過剰間隙水圧を保持し,地盤骨格が十分に形成されていない.このため,砂であれば,掃流砂や浮遊砂の漂砂形態が現れる程度の波浪条件に対して,砂泥質土では,土骨格に作用する有効応力がゼロとなる液状化が発生し,同時に土の分級が起こって粗粒化することが判明した. 2.海水面の変動によって過去に乾燥の影響を受けた土の工学的特性を解明するため,海底粘土の乾燥収縮試験を行った.乾燥履歴を受けることによって,土の含水比や間隙比は減少し,圧密降伏応力は増大する。乾燥収縮量と圧密降伏応力および圧縮特性との関係を定量的に明らかにした. 3.人工的に造成した干潟の覆砂層から細粒分が流出する問題を解明することを目的として,一次元変動水圧下において砂層からの細粒分の抜けだしに関する実験を行った.細粒分10%を含む砂層上に一次元的に変動水圧を載荷すると,地盤内の細粒分が上昇し表層に抜け出す現象が起こることを確認した.この現象は細粒分の塑性が大きく影響し,細粒分の液性限界が40%以上の場合は移動が起きなかった.水圧が下降する過程において,砂層の表層付近では有効土被り圧を上回る間隙水圧が挙生した.このことが細粒分の上方への移動の原因の一つと考えられる.
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