研究分担者 |
竹門 康弘 京都大学, 防災研究所, 助教授 (50222104)
角 哲也 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40311732)
小尻 利治 京都大学, 防災研究所, 教授 (00026353)
占部 城太郎 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (50250163)
遊磨 正秀 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (80240828)
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研究概要 |
1.「流域生態系の階層構造の研究」:河川工学,地形学,生態学などの各分野で提案されてきた河川の階層構造概念について資料整理した,また.主に淀川水系の数河川について,河川生態系の流域区分や河川地形類型を再検討するための野外調査を実施した.そのうち,賀茂川の砂礫堆スケールの環境構造について論文に取りまとめた. 2.「土砂動態と河川形態の対応関係に関する研究」:紀ノ川水系吉野川において,河道に堆積する土砂量を電気探査,音波探査,写真測量などによって推定し,土砂堆積量と河川形態の対応関係を把握するための資料を得た.今後,貯水ダムに堆積する土砂量と地形情報を組み合わせることによって,土砂供給量と河床地形の関係について分析する. 3.「階層構造と生息場所機能の対応関係」:魚類や水生昆虫が産卵場所に選ぶ場所条件として,河床勾配・流速・フルード数・河床材の透水係数などの要因が働く結果,瀬-淵スケールの分布様式が実現することが分かった.この対応関係から,流域スケールないし流程スケールにおいて土砂供給量が変化した場合の,魚類や水生昆虫の繁殖成功度を上記の物理特性から予測できる可能性が示された. 4.「階層構造と物質循環機能の対応関係」:貯水ダムのフラッシュ放流に伴う流下粒状有機物の組成を分析した結果,砂州地形の発達した自然河道域では,河道内や砂州の水辺で生産された有機物の割合が高く,物質循環の輪廻単位距離が短いことが予測された.今後,河床地形の異なる流程間や流域間での比較により,河川生態系の物質循環の流程様式について定量的な定式化を試みる. 5.「流域生態系機能のための適正な土砂供給量の推定」:土砂供給が確保されている自然河道流域と建設年代の異なる貯水ダムによって4年〜40年のさまざまな期間に渡り土砂供給が遮断されている流域において,河床微地形と生物群集構造の詳細な比較調査を行った.これらの成果に基づき,生態系機能を活かすために有効な河川地形ならびに土砂動態の様式についてとりまとめる予定である.
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