研究課題/領域番号 |
15206061
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
建築構造・材料
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三橋 博三 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90091751)
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研究分担者 |
金子 佳生 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60312617)
桐越 一紀 東北大学, 大学院・工学研究科, 技術職員 (60240660)
坂井 悦郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (90126277)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | マイクロカプセル / 水和反応速度 / 温度ひび割れ / インテリジェント材料 / 遅延効果 |
研究概要 |
マスコンクリートの水和熱は、初期材齢で著しい熱応力を引き起こし、ひび割れを生ずる原因となる。このような熱応力が生ずるのを避けるために、本研究では水和熱を制御するインテリジェント材料が開発されている。まず最初に、コンクリートの力学的性質に及ぼす養生温度履歴の影響が、等価材齢の関数として定量的に考察された。初期材齢にあるコンクリートの高温養生は、長期材齢においては強度の増大を阻害することが確認された。これらの実験結果に基づいて、パラフィンを用いたマイクロカプセルの溶融温度は、60℃以下となるように選ばれた。本研究において開発されたインテリジェント材料は、遅延剤微粉末を含むパラフィンで作られたマイクロカプセルで構成されている。そのために、コンクリートの温度と温度応力の上昇速度はある特定の値以下に制御されることになる。この開発されたインテリジェント材料の性能と実用化の可能性が、一連の実験的研究によって検証された。その結論として、以下の結果が得られた。 1.生コンクリートとマイクロカプセルを混合するタイミングと方法が本研究における最も困難な課題のひとつであった。コンクリートとの混合過程で、マイクロカプセルは容易に損傷を受けるものであるが、生コンクリートの打ち込み直前に現場でマイクロカプセルをアジテータ車内に投入し撹拌する方法が実用上は最も有効であることが分かった。 2.コンクリートの水和反応速度を制御するのに必要なマイクロカプセルの量は、使用する細骨材の種類に強く依存する。それ故に、予めマイクロカプセルの必要量を調べることは不可欠である。 3.水和熱上昇速度の低減は、コンクリート中に発生する熱応力を低下させるが、非常に肉厚のマスコンクリートの場合には最高温度はマイクロカプセルを混入していないプレーンコンクリートの場合と同じとなる。実用化のためには設計図書に示された部材厚内の熱拡散過程を解析して、必要カプセル量を決定する必要がある。何故ならば、とりわけ水和熱上昇速度が低くなった場合には、断熱温度条件下での部材温度と比べてはるかに低くなるからである。
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