研究分担者 |
谷口 徹郎 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 助教授 (30231418)
丸山 敬 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00190570)
木内 龍彦 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (30112527)
谷口 与史也 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 助教授 (30254387)
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研究概要 |
建築基準法や建築学会荷重指針に規定された風圧係数は風洞実験結果を基にして算定されているが、これまで国内外で発表されている実測結果と比較すると,瞬間的なピーク値等において,実測値が風洞実験値を大きく上まわる結果が報告されている。老朽化した木造住宅や小規模構造物では、屋根全体の破損・倒壊に至ることがある一方で、大規模構造物では全壊には至らないものの、窓ガラスや屋根葺き材等の外装材の飛散や脱落が数多く発生している。これら外装材の設計用風荷重は、多くの場合、風向一定時における実験および解析結果に基づいて評価されている。しかし、急激な風向変化を伴う場合の風力性状が、風向一定時の実験結果により包絡されるという保証は無い。本研究は,大阪市立大学耐風実験所において,観測用の鉄塔を数基建設し多数の風向・風速計を配置して,風向変化を伴う強風内の空間構造を調べるとともに,大規模建物模型を作製して,自然風下での急激な風向変化に伴う局部負圧や最大瞬間風圧の性状を明らかにすることを目的として行った。得られた知見は以下の通りである。 自然風の風向変化特性を調べ、"急激な風向変化"を、新たに提案した評価手法による"風向変化区間"の、風程が小さい現象として評価できることを示した。また、瞬間的な風向変化による建物外装材の風圧性状について野外実測により調べ、風向変化の瞬間性が高いと大きな負圧が生じることがあることを確認した。さらに、自然風中の風向の安定度指標を自然風の直線性により評価する方法を提案し、風向安定度により一般性の高いデータを選択することが出来ることを示した。この手法を用いて、円柱構造物の表面風圧に関する野外実測結果から風向安定度の高いデータを選択し、高レイノルズ数領域において、接近流の乱れが現象の低レイノルズ数化を引き起こす可能性があること等を示した。
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