研究課題/領域番号 |
15206066
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
小峯 裕己 千葉工業大学, 工学部, 教授 (20114481)
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研究分担者 |
谷合 哲行 千葉工業大学, 工学部, 講師 (20348361)
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キーワード | 揮発性有機化合物(VOCs) / ホルムアルデヒド(HCHO) / 室内空気質 / 二成分指数関数 / HBF式 / チャンバー法 / 放散速度 / 環境因子 |
研究概要 |
1.HCHO放散建材と塗料由来のトルエンが混在する時の室内HCHO・トルエン濃度の経時変化 これまでの研究により、HCHOやトルエンを放散する建材が単独で存在している条件下での個々の化学物質濃度の経時変化については、各々の濃度予測式によって推定できることを確認している。本年度はより現実的な環境を想定し、同一室内に複数の化学物質が存在した場合の各物質の放散挙動について検証した。 実験は小形チャンバー法を用いて予めHCHO放散建材を養生させておき、HCHO濃度が一定になっている環境条件を作り出し、その中にトルエンを放散する塗料を混在させる方法で行った。実験条件としては、温湿度・試料負荷率を系統的に変化させて行った。 その結果、単独時の放散挙動と比べた場合、トルエンについては殆ど変化することがなかったものの、HCHOは混在後100時間程度の期間大きく増減する変動を見せた。この変動は時間経過とともに収縮していき、実験終了時には養生時の濃度に漸近することを確認できた。 2.異種建材混在時の建材のHCHO放散速度に基づく室内HCHO濃度予測式の検証 HCHO放散速度に基づいてHCHO気中濃度を推定するHBF式は、HCHO放散建材単独で存在する場合に高い精度でその濃度を推定できることが既往の研究によって明らかとなっている。しかし、複数の化学物質が混在する実際の状況でHBF式が適用できるかどうかは明らかにされていない。そこで上述した1.の実験結果を基に異種建材混在時のHCHO濃度予測式の妥当性の検証を行った。 その結果、混在初期のHCHO放散挙動が大きく変動していた範囲ではHBF式を適用できないものの、概ね120h以降であれば混在時においても適用できることが明らかとなった。変動の原因として、HCHOが塗料に対して吸着・再放散していることを仮定し検証実験を行った。この結果、HCHOが未乾燥の塗料に対して吸着・再放散することは確認されたが、これが変動に対する全ての要因ではなく、他にも複数の要因が影響していることが明らかとなった。 こうした結果より、実際の施工現場で測定を行う場合には、放散挙動の変動を考慮して施工直後に測定するのではなく、施工から5日程度経過した後に測定することが望ましいと提言する。
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